坂本「16~17歳で路上に立っている子は、少なくとも歌舞伎町にはいないと思います。今まで出会った中で一番若い子でも19歳でした。
知的障害の女性はほとんどいないと思います。発達障害等を抱えていると思われる女性もいますが、マジョリティではない。性的マイノリティの人にも、数えるほどしか会ったことはありません。歌舞伎町の路上は、そもそも障害を抱える女性が稼げるような環境ではないと思われます。
緊急事態宣言以降、男性の目を引くような女性が増えました。適切なたとえではないかもしれませんが、キャバクラやガールズバー等に普通にいそうな、化粧や服装等、身だしなみにも気を遣っている女性が増えたと感じました」
路上という場を男性客の目線で読み替えると、「女性の生身の姿を事前に確認できる場所」になる。性風俗店では、店舗型であっても無店舗型であっても、男性客は女性の生身の姿を事前に確認することは、基本的にできない。ホームページ上にアップされている画像や動画も、加工・修正されているものが大半である。
しかし路上であれば、女性の生身の姿を、料金を払う前に確認できる。また店を通さない分、交渉次第で自分の好きな行為ができる。金額も安くなる上に、予約の手間も不要だ。そう考えると「路上」という場は、一部の男性客にとってはメリットのある場になる。
一方、女性から見れば、路上は「事前に品定めをされてしまう場」だと言える。通常の性風俗のように、口コミによる評価やお店からの推薦もない。ツイッターやブログで情報発信することもできない。そのため、男性から選ばれる基準は、純粋に「見た目のみ」になる。
結果的に路上では、容姿の優れている女性、男性客と交渉できるだけのコミュニケーション能力の高い女性が有利になる。こうした競争原理が働くため、地方から家出してきた未成年の少女や、対人コミュニケーションに困難を抱える知的障害や精神障害の女性にとって、路上での直引き売春で稼ぐことはハードルが高いと言える。