空手界のパワハラ問題も噴出
オリンピックに限らず、ここ数年、スポーツ界では様々な問題が噴出し続けています。
昨今では、柔道界では全柔連の前事務局長によるパワハラ問題が発覚しました。ラグビー界では、2022年1月に開幕予定の新リーグ法人準備室長が退任。直近では、空手女子の五輪代表選手である植草歩さんが、師匠である全日本空手道連盟の選手強化委員長からパワハラを受けたと告白し、話題となりました。
コロナ対応における混乱はもちろんのこと、各団体における組織ガバナンスや人事、選手の指導方法などの問題がここ数年、あいもかわらず次々と明るみに出続けています。
体制側にいる当事者たちは、この場面でもやはり、なるべく目立たないことで、関心を集めず、みなが忘れ去るのを待っているかのようです。いずれにしても、スポーツ界のそこかしこで、時代錯誤のまま溜まりつづけた「膿」が出続けているのは明らかでしょう。
安倍政権終焉後に見えてきた変化
一方で私が感じているのは、ほんの少しずつではありますが、世の中全体の空気に変化が起こり始めている、ということです。
おそらくそれは、安倍長期政権から菅政権に交代した日本の社会をとりまく情勢と呼応して、生まれ始めている空気のように感じています(予め申し上げておきますが、私は政治的には政権擁護派でも批判派でもなく、すべてにおいて是々非々、でしかありません)。
7年8ヶ月という長期にわたった第二次安倍政権下の日本を象徴する言葉として、私はどうしても“忖度”を思い起こします。
目の前に問題があっても口を閉ざし、体制側につく。「体制側の正義」にだけ耳を傾け、その意図を汲んで動くことで、自分の身を守る。そうすることで、利権の一端にありつくことができる。
そんな空気が蔓延していました。
それが、コロナ禍における数々の失政が引き金となって安倍政権が終焉を迎え、安倍政権の官房長官だった菅義偉新総理が誕生して以降は、明らかに流れが変わりました。
忖度が以前のように万能に機能しない。権力をもってしても隠しきれない。政治家と官僚をはじめ権力側も一枚岩ではなくなってきた。問題や不満が目の前にあるならば、ハッキリと口に出して言ってしまっても排除されるリスクが減少してきたように見えるのです。