1ページ目から読む
5/5ページ目
だがそれは、「黒髪こそが正義」(あるいは「生まれつきの髪色こそが正義」)という厳格なルールがあってのことだ。そのような大前提そのものを取り払ってしまえば、目の前に拡がっているのは、ただのカラフルな髪色である。学校が恐れている「乱れ」というのは、ただの「多様性」にすぎない。
多様性を尊重すれば、生徒をいちいち叱りつける必要もなくなる。学校外部から人権侵害と批判されることもなくなる。生徒は、上から言われたルールにただ従うだけではなく、自分で選択することを学んでいく。
学校から社会を変えていく
もし学校側に「就職活動や入試のときに茶髪はやっぱり…」という不安があるなら、その直前の1ヶ月に、「場面をふまえて,的確に行動することも大事だ」と、黒色に染める選択肢を提案すればよいだろう。
ただ願わくは、学校には子供の人権を尊重し、「学校から社会を変えていく」「未来の人材を育てていく」といった気概をもっていてほしい。そのためには、受け入れる側の企業や組織もまた、積極的に変わっていかなければならない。
私が尊敬するとある市の教育長は、東京都のツーブロック禁止の話題を受けて、「ツーブロック禁止に腹が立っちゃって、さっそく髪を切ったときにツーブロックにしてもらったよ」と、うれしそうに話していた。
3月の卒業式が終わると同時に、美容院には、髪を染めてもらうために高校生が駆け込んでくると聞く。学校とは、いったい何なのだろう。この春、我が大学には、頭髪も服装もカラフルな新入生がやってくる。