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「なぜツーブロや茶髪はだめなの?」教員が口を揃えて言う「教育的言い訳」の正体

2021/05/21

genre : 社会, 教育

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 地毛証明書の書式は、全国的に統一されているわけではない。学校により多少のちがいがある。(そもそも、このような人権侵害の書類が全国で統一されているとしたら恐ろしいことだ。)基本的には,(1)本人の氏名、(2)保護者の氏名、(3)毛髪の特徴を記入して、学校に提出される。

 生まれつきの身体の特徴をわざわざ申告させることは、プライバシーの侵害にあたると考えられる。私個人の感覚では、なんともおぞましいルールに思えてならないのだが、一方で学校側の言い訳はこれもまた、「生徒を守るため」である。

「生徒の人権を守るための制度」

 2019年3月、P&Gのヘアケアブランドであるパンテーンは、髪型・校則をテーマに「#この髪どうしてダメですか」キャンペーンを展開した。朝日新聞の一面広告(3月18日付)など、さまざまな媒体をとおして、学校における頭髪規制への関心が高められた。

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 4月にはYouTubeに「#この髪どうしてダメですか 生徒と先生の対話 完全版」と題して、とくに地毛証明書に特化した動画が公開された。この動画は、地毛証明書をめぐって、実際に生徒と教師が「ホンネで議論」する企画であり、それぞれの思いが伝わってくる仕上がりになっている。

 動画では、「地毛証明書を出す理由を教えてください」という生徒からの問いをきっかけに、ある教師が地毛証明書の意義を次のように語っている。

©iStock.com

 もともとの地毛であればそんなもの(証明書)を提出する必要はないと思うんだけれど、なかにはそういうふうに髪を染めてしまって、印象が悪くなってしまう子もいるから、「そうではないですよ」というための証明だと思う。

 地毛証明とは、「髪を染めてしまって,印象が悪く」なる生徒もいることから、自分は染めているわけではないことを主張するための手続きであるという。