下着の色は白のみ、コート着用不可、ツーブロック禁止など、理不尽な校則の話題が尽きない。すべての学校がこうしたルールを適用しているわけではないものの、たとえば東京では都立高校の4割が、生まれつきの毛髪の色を申告させる地毛証明の届け出を求めている。
子供の居場所となるはずの学校が、なぜ人権侵害とも言えるようなルールを運用しているのか。学校の「言い訳」に注目しながら、理不尽な校則が存続する背景を考えたい。
ツーブロック禁止は「生徒を守るため」
昨年の7月に東京の都立高校におけるツーブロック禁止が話題となった。
都議会議員の池川友一氏が委員会にて、ツーブロック禁止の理由を教育長に問うたところ、「外見等が原因で事件や事故に遭うケースなどがございますため、生徒を守る趣旨から定めている」と回答があった。ツーブロックを禁止することが理不尽であり,また「事件や事故に遭う」という理由が「意味不明」だということで、動画を掲載した池川氏のツイートは5.8万件のリツイート、14.3万件の「いいね」が付き、動画は647.7万件の再生を数えた(2021年4月30日時点)。
私は直感的には、「生徒を守る」という教育長の説明は、納得も理解もできない。私を含め多くの人たちは、その直感があるからこそ、ツーブロック禁止を嘲笑し、一蹴する。
ただ、今回はいちど、「教育長の説明がもし真剣な言い分だとしたら」と考えてみたい。つまり、「生徒を守る」ということが答弁上のこじつけではなく、本気でそう思っているとしたら、ということだ。