自分たちだけ利益を得ていたという偽善
「曺国元法相の娘の不正入学から始まった与党の『ネロナンブル』(自分の婚外恋愛はロマンでも他人がやると不倫だとするような偽善を揶揄する言葉)。ここから進歩派内でも与党離れが始まった。そして不動産政策での失政、 “K防疫”を誇っておきながらワクチン接種での遅れ、挙げればきりがありません。
コロナが始まった昨年4月の総選挙ではコロナ対策が功を奏して180議席を獲得するスーパー与党が誕生しましたが、結果的にこれが毒になって返ってきた。傲慢になった与党は、国会の要職のほとんどを自分たちで占め、秋美愛前法相は文大統領が寵愛する曺国元法相一家の疑惑にメスを入れた尹錫悦前検察総長の追い出しを1年もかけて執拗に行い、与党はこれを検察改革だと嘯(うそぶ)いた。
極めつきは、国民自身の資産に関わる不動産問題での失策とさらには公共住宅の供給を担う公社職員や青瓦台の政策室長や与党議員までもが内部情報を利用し、自分たちだけ利益を得ていたという偽善。国民が怒らないわけがない」
それでも、票がここまで政治を動かしてしまう現実を目の当たりにすると驚きしかない。補欠選挙であったため平日に行われたにもかかわらず、ソウル市の投票率は58.2%にのぼっている。昨年、日曜日に行われた東京都知事選が55%だったことを考えると相当高い。
20~30代の多くがが野党候補を支持
今回の選挙で注目されたスイングボーター(浮動票)は20~30代だった。
その結果は、男性では20代が72.5%、30代が63.8%、文政権を支える核心的存在といわれた女性では20代が40.9%、30代が50.6%が野党候補を支持していた。
この世代は韓国では「MZ世代」(1980年代初め~2000年代初めに生まれたミレニアル世代と1990年代半ばから2000年代初めに生まれたZ世代を合わせたもの)と呼ばれ、最近、企業内でもその動向に注目が集っている層だ。
今年に入り、この世代が「報酬の公正さ」を訴え、「SKハイニックス」ではSKグループ会長が自身の年俸を返納し、サムスン電子では賃金引き上げ率を平均7.5%ほどアップさせている。