競争の公正さだけを求める「2030」たち
進歩・革新派の論客で、曺国元法相の疑惑を境に現政権の批判を繰り返している陳重權元東洋大学教授はこんなことを言っている。
「2030(20代、30代のこと)は機会の平等と結果の正義を信じない。金のスプーン、土のスプーン(親の資産や所得によって階級があるというスプーン階級論。金は富裕層、土は低所得層)の身分の違いは“運命”だと思い、公正な競争の結果としてもたらされる格差は潔く認めようとする。そのため競争の公正さだけを守ってくれというのだ。2030が信じているのはこの能力主義(Meritocracy)、つまり、個別的競争のイデオロギーだ」(中央日報、4月7日)
彼らの考え方は、保守と進歩・革新という分け方では理解できないというわけだ。
野党の勝利は「与党を審判するという意味での勝利」
圧勝した野党「国民の力」も勝利に酔ってばかりはいられない。世論調査会社関係者は言う。
「スキャンダルが続出しているにもかかわらず反省もみられない与党を審判するという意味での勝利で、決して野党を支持しているわけではない。野党にも機会を与えてあげるよ、ただ、失敗したらすぐに背を向けるよという意味合いが強い。今回は補欠選挙で1年間という期限もちょうどいいと考えた20~30代、そして中道層が野党票へ動いたということでしょう」
反省という点からいえば、野党「国民の力」は昨年、李明博元大統領と朴槿恵前大統領の過去の過ちについて謝罪し、また、1980年、光州で起きた民主化運動で犠牲となった人々が眠る国立墓地を訪ねて跪(ひざまず)いて謝罪するなど、これまでとは異なる姿をみせてきた。また、熱烈な朴槿恵前大統領支持層の太極旗部隊も今回の選挙では姿を消しており、新しい“保守像“を探っていた。こうしたことも今回の選挙では功を奏したようだ。