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 今回のソウル・釜山補欠選挙は与党所属だった故朴元淳前ソウル市長、呉巨敦前釜山市長のセクハラにより空いた役職をめぐって行われた選挙で、そもそも与党は候補者をだせるような立場にはなかった。しかし、「大統領選挙を1年後に控えた今回の選挙に候補者を出さざるを得なかった側面もある」(前出記者)という。

 4月に入り、与党の朴映宣候補の劣勢が明らかになると「出馬辞退」という噂がまことしやかに流れたが、実際に辞退していればここまで与党が混乱することはなかったかもしれない。

 補欠選挙が終わり、韓国はすでに来年3月の大統領選挙(大選)モードに入った。

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 与党の惨敗により、今回、選挙対策委員長を務めた知日派の李洛淵前首相は責任論に押されて退場し、大選予備候補者レースから脱落するとみられる。ますます勢いに乗るだろうといわれるのは李在明京畿道知事だ。

 文派(熱烈な文大統領支持派)とは距離を置き、疎まれているともいわれる李知事が与党の候補者となるのか。李知事の対日観は抗日ともいわれ、かなり厳しいといわれる。いずれにしても、与党の惨敗により、李知事をはじめとする与党の大選予備候補者は文大統領を批判し踏み台にすることで世論に支持を訴えかけていくものとみられる。

文在寅大統領 ©共同通信社

来年には政権交代が起きるかもしれない

 第一野党「国民の力」は大選の候補者不足といわれたが、今回の勝利で顔ぶれが見えてきている。今回の選挙の影の立役者となった安哲秀元議員や当選した呉世勲ソウル市長も名前が挙がる。また、党内で呉ソウル市長と候補争いをした羅卿ウォン議員、そして、俄然注目が集まるのは現政権と対立構図となっている尹前検察総長が政界に打って出るかだ。

 10年単位でスイングしてきた保守と進歩・革新政権だが、来年には政権交代が起きるかもしれない。もし、現在の野党候補が当選すれば前政権の政策を検証することになり、対日政策もその対象となるだろう。

 どんな政争が繰り広げられるのか。観戦者だけに徹するならば、これほど面白いレースはなさそうだ。