東京に暮らしたり働いたりしている人ならば、京浜東北線にはずいぶんお世話になっているに違いない。田端~品川間は山手線と並んで走っているのでどちらに乗ってもいいのだが、日中には京浜東北線が快速運転。おかげで、各駅に停まる山手線よりちょっとだけ早く目的地に行ける。たかだか数分なのでそんなに急いでどうするんだという気がしなくもないが、1分1秒を争う大都会のビジネスマンにはありがたい限りなのかもしれない。
このありがたき京浜東北線、北側は大宮駅が終着である。新幹線も停まる天下の埼玉県の大ターミナルだ。対して、南側は川崎や横浜を通り抜け、大船駅を目指す。
実は横浜~大船間は京浜東北線ではなく根岸線というのだが、根岸線内だけで完結する列車はなくてすべて京浜東北線と直通。なので、京浜東北線というときに根岸線区間を含めることが多い(案内放送などでは「京浜東北・根岸線」などと呼ばれている)。
で、東京駅付近で京浜東北線の南方面に向かう列車を待っていると、やってくる列車の行き先はだいたい3つある。ひとつは、先にも出てきた大船行。もうひとつは、東京都内でギリギリとどまる蒲田行。そして最後が、磯子行である。
「磯子」には何がある?
大船もナゾの駅といえばナゾの駅であるが、東海道線と横須賀線が分かれるターミナルでもあるので、今回はまあいいだろう。蒲田は言わずもがなの行進曲。東京都内だし、なんとなく親しみがある。
ところが、磯子行である。いったい、磯子とはどこなのか。横浜でもなければ川崎でもなくて、もう皆目見当がつかない。根岸線というからには根岸という駅もありそうで、それが終点ならば疑問も抱かないところなのだが……。
東京駅から快速で約50分
というわけで、例のごとく京浜東北線に乗って磯子駅を目指した。平日の昼間であれば、南方面に向かう京浜東北線は磯子行・蒲田行・大船行が順番にやってくる三すくみ。蒲田行以外に乗れば磯子駅には連れて行ってもらえる。東京駅からだったら快速で約50分。……それなりにしっかり遠いような気がするが、川崎も横浜も通り過ぎるのだから仕方がない。どうしても早く行きたいならば横浜駅までは東海道線で行って乗り換える手もあるが、実のところ10分くらいしか短縮できないのでどちらでもいいだろう。