「人見知りで話しベタで気弱」を自認する新卒女性が入社し、配属されたのは信販会社の督促部署! 誰からも望まれない電話をかけ続ける環境は日本一ストレスフルな職場といっても過言ではなかった。多重債務者や支払困難顧客たちの想像を絶する言動の数々とは一体どんなものだったのだろう。
現在もコールセンターで働く榎本まみ氏が著した『督促OL 奮闘日記』(文春文庫)から一部を抜粋し、かつての激闘の日々で身につけたお金についての基本的なノウハウを先輩との対談形式で紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)
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Q.毎日毎日怒鳴られて、仕事がつらいです~。K藤先輩はどうしてこの仕事を続けていられるんですか?
N本 また2時間もクレーム電話の対応でした~(涙)。仕事とはいえ、毎日毎日怒鳴られてばかりで、こんなつらい仕事、K藤先輩は辞めたいと思ったことはないんですか?
K藤 仕事自体は確かにつらい部分が多いかもね。精神的なストレスがかかることもたびたびだし。でも、なかなか支払ってくれないお客さまを説得して、入金してもらったときの達成感はあるじゃない?
N本 うーん、それは私にも分かりますけど……。朝から晩までコールセンターに閉じ込められて一日電話する仕事、土日も祝日も出勤(*1)だし「どうして私ばっかりこんな仕事!」って思うときがあるんです。
*1 コールセンターは基本的に土日も祝日も稼働しているため、土日祝出勤があるのは当たり前。
要求は仕事の実績との等価交換
K藤 会社に不満があるときは、文句を言いたくなるわよね? でも、会社はそれじゃ動いてくれないのよ。私がこの仕事を続けている理由は、「発言力」を持つためかな。
N本 は、「発言力」~?
K藤 会社にこんな仕事をさせてほしい、業務をこうしてほしいって言うためには、ちゃんと成果を持っていかないとね。私も新入社員の頃は、N本と同じように会社に不満ばっかり言ってたわよ、でも会社はなんにもしてくれなかった。
N本 えっ、K藤先輩にもそんな初々しいときがあったんですね。意外ですね!
K藤 N本、あとで体育館裏においで(ニコッ)。
N本 ひいっ、ここ体育館裏ないです!(震)
K藤 新入社員は上司に不満を言えば改善してくれるって思ってるけど、文句だけ言ったって動いてくれないわよ。私だって会社に提案が通ったのは回収金額がチームで一番になったときだった。まぁそのときは気持ちよかったわね。組織を変えたいと思ったら、それは仕事の実績との等価交換なの。要求を聞いてほしけりゃ手ぶらで来るな、成果を持ってこいってこと。
N本 ぎくっ。
K藤 それに、少しでも影響力が持てて周りを動かせるようになったら会社って、働くって楽しいわよ! ひとりじゃできないことも会社の力があればなんだってできるんだから。だからN本も、文句や不満があるならそれを改善するために会社から要求されてる利益を持ってきたら? ま、とりあえずアンタが成果出したら、私が一つアンタの要求上に伝えてあげるわよ。
N本 えっ! と、とりあえず頑張ります!
A.成果を出せば周囲に影響力を持てる。会社を動かせれば仕事って楽しくなるかもよ。