「人見知りで話しベタで気弱」を自認する新卒女性が入社し、配属されたのは信販会社の督促部署! 誰からも望まれない電話をかけ続ける環境は日本一ストレスフルな職場といっても過言ではなかった。多重債務者や支払困難顧客たちの想像を絶する言動の数々とは一体どんなものだったのだろう。
現在もコールセンターで働く榎本まみ氏が著した『督促OL 奮闘日記』(文春文庫)から一部を抜粋し、かつての激闘の日々で身につけたお金についての基本的なノウハウを先輩との対談形式で紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)
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Q.「俺の情報をブラックリストに載せただろう」って怒りの電話が、かかってきてるんですけど……。
N本 けっ、けけけK藤せんぱ~い‼ お客さまからクレームですぅ! おまえら俺の情報をブラックリストに載せただろう! 絶対に訴えてやるってお怒りですー!
ブラックリストは存在する?
K藤 はいはい、そのくらいで騒ぐんじゃないわよ。ところでN本、あんたブラックリストなんてホントにあるって思ってるんじゃないでしょうね?
N本 ブラックリストってカードの支払いとか借金の返済を延滞すると載せられるリストのことですよね?
K藤 (鉄拳)
N本 あうっ! ありがとうございます!
K藤 あんたそれでもカード会社のOLか! ブラックリストなんてのは都市伝説(*1)で、実際には存在しないのよ!
*1 本当にありそうな、でも噓とも取れそうな現代の噂話。
N本 ええぇ~そうなんですか⁉ でも、自己破産したり、カードの支払いを長期に滞納するとお金を貸してくれなくなるっていうじゃないですか。あれってブラックリストではないんですか?
K藤 それは、信用情報機関(*2)にお客さまの延滞情報が載せられて、審査が通りにくくなるからでしょ! あと破産情報は官報(*3)に載るからよ。ちょっとそこに正座しな!
*2 クレジットカードの利用履歴、申し込みの状況などを、各カード会社が共有するために作った民間の組織のこと。
*3 法律や政令の公布など国が決めたことを国民に知らせるための、いわば国の広報紙。破産した人の住所・氏名も官報に載せられる。