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【DHCまた問題文章「NHKは日本の敵」】DHC会長の“サクラ投稿指示”に反対した新入社員が年末に懲戒解雇されていた!

「密室で退職勧告されました」DHC元新入社員が告発 #1

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 11月になるころにはAさんの研修先は5カ所目になっていた。20名ほどいた研修生の大半は、本配属先が決定していた。この頃、炎上騒ぎのきっかけとなる韓国に関する差別的な文章が、DHCの公式オンラインショップサイトに吉田氏の署名で掲載された。

会長の差別発言に新入社員が提出した“抗議文書”

《売上金額ではDHCはサントリーに負けていることになっています。(中略)消費者の一部は、はっきり言ってバカですから、値段が高ければそれだけ中身もいいのではないかと思ってせっせと買っているようです。(中略)サントリーのCMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人です。そのためネットではチョントリーと揶揄されているようです》(DHC公式オンラインショップサイトより「ヤケクソくじについて」から抜粋)

DHC公式オンラインショップサイトより「ヤケクソくじについて」

 Aさんはこれも許せなかった。

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「この時も先輩社員に対して『なぜ差別的な文章をそのまま掲載し続けるのか』『消費者を馬鹿にした内容の文章を会長の署名で出しているのになぜ誰も何も言わないのか』などの意見をまとめた文書を提出しましたが、らくがき板のとき同様、誰にも相手にされませんでした」

Aさんが対外的にDHCを直接批判することはなかったが、個人のTwitterアカウントでDHCに関する投稿をリツイートしたこともあった

倉庫勤務で極度の緊張から突発性難聴を発症

 12月に入り、Aさんは6カ所目の研修先に行くことになった。本配属が決まる気配はまだなかったという。

「この頃には、自分を含め研修中の新人は片手で数えられるほどに減っていました。評価の低い新人は研修期間が長くなるのです。過去には研修を6部署経験した先輩社員が不名誉な意味で“伝説”と言われているのを知っていたので、相当焦りました。6カ所目の研修先として指定されたのは物流倉庫でした。倉庫といえど、もともと銀行だったビルを倉庫にしているので天井も低く、そこで200名近くの従業員が働いていました」

 しかし倉庫で研修が始まって3日目、Aさんは突発性難聴になり左耳が聞こえなくなってしまった。

「勤務中、耳の中に水が溜まっているような違和感があったのですが、翌朝に目が覚めると左耳が全く聞こえなくなっていました。すぐに病院に駆け込んだところ、極度の緊張による突発性難聴だとわかりました」

 Aさんが極度の緊張を覚えたのには理由があった。

「実はちょうど“サクラ投稿”の施策が発表された頃、発熱と嗅覚、味覚障害をおぼえて検査をしたところ新型コロナウイルスに感染していたんです。

 会社にはすぐに報告し、10日ほど会社を休みました。重症化はしなかったものの、他人事だと思っていたコロナに自分が罹ったことがショックで、それ以降、密な空間には敏感になっていました。そのため閉鎖的な倉庫勤務に緊張してしまったんです」