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「Excelの達人」も頼ったカイル君

 Excelには“達人”と呼ばれる使い手がいるが、表計算の熟練者でもカイル君には苦い思い出があるようだ。Excelを使ってレトロゲームを再現している「パパセンセイ」氏に、カイル君の話を訊くと……。

「カイル君と出会ったのは、PCを始めたばかりで、Excelの使い方もほとんど知らなかった頃です。わからないことがあったときにカイル君を頼ったこともありますが、欲しい情報が返ってくることはほとんどなくて、ただただ邪魔な存在だったことを覚えています」(パパセンセイ氏)

 ちなみに、彼の製作した動画では、RPGの敵キャラとしてカイル君が出演。「何について調べますか?」というセリフはここでも健在だ。


「パパセンセイ」氏の動画「ExcelでVBAを使わないでドラクエ3を再現してみた」より。カイル君を正攻法で倒すことはおそらく不可能である。

 しかしこのカイル君は強い。「怒涛のセル結合」や「外部リンクが見つからない呪い」など、Excel使いを絶望させる攻撃を放ってくるイルカを前にして、勇者ら4人組は全滅という最期を遂げている。Excelに詳しい人ならクスッとくる内容ではなかろうか。

カイル君には仲間がいた!

 グラフィカルなインターフェースでユーザー支援を目指した「Officeアシスタント」機能。日本ではカイル君がデフォルトに設定されていたが、Officeアシスタントは実はチームになっていて、その中からひとりを選択することができた。

 しかしカイル君以外のキャラクターを選ぶユーザーは少なく、記憶にも残らなかった。カタコトで話すロボット「F1」、眠たげな魔法使いの「マーリン」、ネコの「ミミー」やイヌの「ロッキー」、さらには「孫悟空」まで複数のキャラクターがいたが、どれもデザインに洗練を欠いている。投げやりな「Office ロゴ」は極めつけといえる。こうして並べて見ると、カイル君の“主役感”が際立つ。

どうにも力のないデザインが並ぶ。「親しみやすさ」を演出したかったのだろうが、機能性の乏しさも相まって、ユーザーを脱力させるばかりだった。

 そんなダメンズを差し置いて、可愛らしいのが「冴子先生」だ。秘書にも教師にも見える清楚な女性で、バーチャルアシスタントとしては「王道」のキャラクターデザインである(昨今は性役割の見直しも進んでいるが)。Officeアシスタント廃止後も、Office 2010の発売にあたって、冴子先生のコスプレをした美女がプロモーションを務める一幕があった。

アニメ絵でキュートな冴子先生だけれど、大きなデスクと一体化しているせいで圧迫感があった。

 実は筆者も、Office 2000を使っていた当時は、この冴子先生を選択していた。全然役に立たないのも、邪魔なのもカイル君と一緒だったが、それでも年上美女の冴子先生は、デスクトップにおける一服の清涼剤だった。

 なお、後述する「Clippit君」は英語版でデフォルトのOfficeアシスタントだったが、日本語版でもこれを選択できた。人気はまったくなかったが……。