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最新版では予想外の場所で復活

 かくてカイル君は“お払い箱”となり、いよいよMicrosoft Officeの世界から完全に消されてしまった……と思いきや、実は彼はWordに今も潜んでいる。その様子が知りたい人は、Wordの「はがき宛名面印刷ウィザード」を使ってみよう。

 やり方は簡単で、まず「差し込み文書」→「はがき印刷」→「宛名面の作成」と進む。次に「はがきの種類」として「通常はがき」を選択し、「背景にはがきを表示する」のチェックがオンになっていることを確認したのち、「完了」をクリックする。

 すると宛名面に、緑色の切手が表示される。この図案がなんと、懐かしのカイル君になっているのだ。

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90年代を思わせるジャギーな姿のままで切手になったカイル君。これはあくまで表示用のもので、実際には印刷されない。

 切手の絵柄といえば、各国を代表する歴史的人物が選ばれることが多い。日本の切手では風景画や動物画が主流だが、戦前は藤原鎌足や東郷平八郎、戦後は「郵便制度の父」として知られる前島密が描かれた。

 この法則を当てはめれば、Microsoft世界におけるカイル君は、そのクラスの偉人ということになる。現役時代は役立たずと蔑まれた哀れなイルカだったが、Microsoft社内には、彼を愛する開発者が少なくないと見る。

「それ、カイル君も…」現役の「コルタナ」嬢がカイル君を語る!?

 今日では、カイル君と比べてはるかに洗練されたバーチャルアシスタントが存在し、我々の生活やビジネスを手助けしてくれる。業界のトップランナーはAppleの「Siri」とAmazonの「アレクサ」だが、Microsoftも「コルタナ」という名前のアシスタントを育てており、最新のWindows 10にはこのコルタナが搭載されている。「コルタナ」という名前は、Microsoftの人気ゲームシリーズ「Halo」に登場する女性AIキャラクターを起源としているため、ここでは女性と見なすのが適切だろう。

 このコルタナ嬢、なんとカイル君と面識がある模様。音声認識機能を使って彼女に話しかけ、「お前を消す方法」を問うと、「それ、カイル君もよく言われたって言ってました」と返してくるのだ。

コルタナの場合、「お前を消す方法」と言われた際のリアクションは数パターン存在する。彼女とカイル君との関係性は、ユーザーの妄想に委ねられている。

 現代のバーチャルアシスタントは極めて人間らしく作られており、しかも女性の優しい声で話すものだから、昔のように暴言を投げかけるのは気が引ける。そういう背景もあってか、コルタナは「お前を消す方法」というフレーズを、ただのジョークとして受け止めているようだ。

 それでは、コルタナとカイル君の間には、いったいどんな関係があるのだろうか。