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「憎たらしい奴の半生を詳しく知りたくないですか?」

「自分の半生を知ってもらいたい」

 これが死刑確定前からの、彼の望みだ。

 しかし面会では生い立ちを聞くも黙り込む場面が多かった。

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 そこで「自分の半生を書き残したらどうか」と提案すると、興味を持ち書き始めることを約束した。

 が、そこから約3年、一行も書くことはなかった。「過去を思い出すと辛い。事件を思い出すと辛い」というのがその理由である。

和也が一時期暮らした母親の実家がある町(筆者撮影)

 それでも事実上の死刑確定日となる判決公判が昨年9月8日に行われることがその前月に決まると、猛烈なペースで書き始める。「自分の半生を世に知ってもらいたい」と断続的に手紙を送り、計160枚の手記を僕らに託したのだ。

〈まずこの手記を書いている理由は、自分の反省を振り返った上で、何が原因でこのような人格、性格となり、何がどう影響し合い、「土屋和也」という男性がどのような環境下において変換していった過程(プロセス)を経て、その最期には殺人犯までに堕ち果てたそれらを明確にすることが、自分に課せられた使命であると考えている。

 

 情景や心情、人それぞれの表情や言動を可能な限り表現・再現しようとする事で臨場感ある表現になると思いますが、これがなかなか難しいです。

 

 自分が犯した際、その被害者と遺族らは「償いなどいらない」「極刑だけを望む」との内容を前橋地裁、東京高裁ともに公表し、土屋本人が彼らに直接賠償をするというのは彼らが望んでいないため行おうとは思っていません。

 

 自分が彼らの愛する大切な人を殺めてしまったのも事実で、反省をしても彼らの元へは被害者は戻りませんし、反省はしても自分に何の利点はないし、何も環境は変わりません。

 

「人でなし」「殺人犯」「卑怯で卑劣者」「反省ゼロの殺人犯」「老人狙いのゴミ野郎」…etc。

 

 そう世間から後ろ指差されて、憎たらしい奴の半生を詳しく知りたくないですか?

 

 自分の手記を読んで、トラウマになったり、気分を害したりした場合の責任は負いかねます。

 

 自己責任でお頼み致します〉(同)