韓国、ネパール、ベトナムをはじめ様々な国籍の人々が集う街、新大久保。そんな当地に根付くカルチャーの1つが「500円ダルバート」だ。
ダルバートとは、ネパールで日夜食べられる定食料理で、ダル=豆スープ、バート=ご飯を差す。その2品を基本構成とし、カレーや野菜炒めなど、その時々で違うおかずと共に食べる。その点、味噌汁&ご飯を基本構成とする日本の定食ともリンクする。
※この記事は東京都で緊急事態宣言が発令された2021年4月25日より前に書かれたものです。宣言中の飲食店での酒類提供を推奨する意図はございません。
ネパール料理店という名のワープポイント
新大久保界隈にはダルバートを500円=ワンコインで提供するネパール料理店がいくつもある。500円ながらダル&バート以外にもカレー、サーグ(青菜炒め)、アチャール(漬物)などが付く。加えて、ダルとバートはおかわり自由だ。場合によっては、カレーのスープもおかわり可能。これは現代に残された、ちょっとした奇跡である。
全体的にスパイスの構成や調理法がシンプルで食べやすいが、現地感が色濃く、辛さはしっかりある。うま味と塩気の効いたおかずをご飯と共に噛みしめると、甘みが口いっぱいに広がる。ダルは豆の滋味とニンニクの風味が立っていて、それだけでご飯が延々といける。
どの店にも、もっと品数の多い700円前後や1000円前後のダルバートがあり、そちらも美味しいが、筆者は素朴な500円ダルバートを生ビールやハイボールをお供にわしわし食べ進めるのが好きだ。ネパール料理店はお酒も格安なことが多く、生ビールを300円台で出す店も珍しくない。
したがってダルバートを頼み、おかわりを何度かし、そこにお酒を1杯つけても、1000円以内で収まる。さらにはスパイシーなネパールおかずもよくテイクアウトし、それを肴に家飲みを楽しんでいる。
店員はもちろん、客の大半がネパール人で、頭上を異国の言葉が飛び交う。お店の内外の設えも、アジア的にラフなところが多く、中にはスパイス食材店の奥にひっそり佇む“隠し部屋”のような店もある。新大久保界隈には、そんなネパール料理店という名のワープポイントが、30軒以上ある。
ただ最近、界隈の500円ダルバートに、変化が起きている。