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“二階俊博の弟に頼んだら免許がひと月で…” ミナミの「談合サロン」と二階事務所の不思議な関係

『泥のカネ 裏金王・水谷功と権力者の饗宴』より #24

2021/04/27

source : 文春文庫

genre : ニュース, 社会, 政治, 経済, 読書

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業界人が集う談合サロン

 中堅ゼネコンの業務屋が体験談を明かす。ゼネラルコントラクターをゼネコンと略すようにマリコンはマリーンコントラクターの略称だ。海洋ゼネコンとも呼ばれる。ゼネコンには違いないが、そのなかでも名称どおり、沿海部の護岸工事や埋め立てを得意とする。ODAの湾岸開発事業や沖合に設置される大空港の滑走路建設工事には欠かせない建設業者だ。

 それだけに湾岸開発に威勢のおよぶ運輸族議員との交わりも多い。マリコン大手の五洋建設や東亜建設工業OBが代表を務めてきた政治団体「さんそう会」は、旧運輸省港湾局出身者が会計責任者となり、自民党族議員に政治献金を繰り返してきた。00年から9年間で、二階俊博のほか、旧運輸省出身の国会議員(当時)、泉信也や渡辺具能らに2億11000万円の献金が届けられている。

 くだんのクラブは、その二階の実弟と親しいママが経営しているとされた。マリコンの業務屋たちは「英臣さんの店」だといい、そこに集った。店に何度か行ったことがあるという業務屋が店の様子を話してくれた。

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「そのミナミのクラブは事件の騒動のさなか、さすがに閉めました。かつてはネオン街の真ん中にあって、店内は広い。客は50人ぐらい座れ、ホステスも常時10人ほどいたのと違いますやろうか。英臣さんが店に来なくても、どの建設会社がどのくらい店に足を運んだのかは、ママが把握している。だから、やはり顔を出さんといけません。しぜん店は業界の知り合いばかりになり、そこで仕事の話もけっこうできましたから、便利でした」

 二階事務所では、実弟および「関西新風会」とこのクラブとは無関係だとする。だが、紛れもなくこれも、業務屋たちが集う一種の「談合サロン」といえる。誤解を恐れずに言えば、ゼネコン談合が業界の正当な利益を守る範囲であれば、こうした社交の場も目くじらを立てる必要はない。だが、談合は業界の人間だけで進められるわけではない。談合サロンは、まさに利権そのものが転がっているからこそ、繁盛する社交場なのである。

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