「現役のバッジとなると、なかなか」
「和歌山事件のとき、なぜ西松を摘発できなかったのでしょうか。地検も疑問を抱いていたに違いありません。だからこそ、私から『二階のこと知らないか』と業界と二階先生との関係を聞き出そうとしたのでしょう。ただし、その一方で弱音も漏らしていました。『二階まで行きたいけど、現役のバッジとなると、なかなかねぇ』と。結局、そこまでやる気がなかっただけかもしれません。3年後、二階先生の事務所に対する政治資金規正法違反事件に落ち着いたが、その処理の仕方を見ても、同じような空気を感じます」
石田は文字どおり腑に落ちない。その理由をこう吐露した。
起訴対象は小沢事務所のみ
「まず、838万円のパーティ券について、検察は購入した西松側を起訴しておきながら、買ってもらった二階側を不起訴にしている。パーティ券なので、どこの誰が買ったか分からなかった、という二階側の言い分を踏襲している。しかし、それは納得できません。政治家のパーティ券については、これまで私もずい分引き受けてきました。そのパーティ券には、必ずどこの買った会社が買ったのか、分かる仕掛けがあります。チケットがナンバリングされていて、たとえば100番から150番までは西松の引き受け分、とあらかじめ政治家に伝えてあるのです。それは、政治家にどこの会社がパーティ券を買ったのか、その事実を伝えないと、買う側の建設会社にとっても意味がないから。検察側がその仕組みを知っているのか知らなかったのかについては、わかりません。だが、少し考えればわかりそうなものです」
おまけに西松建設事件のおける摘発対象は、小沢一郎に対しダミー団体を通じて献金していた件のみ。前社長の國澤らが起訴されている。同じ構図なのに、二階のパーティ券問題だけは不起訴になっているのだ。
関西における二階事務所と建設業界との関係は、報じられてきた以上に根が深い。西松建設においても、前社長と二階本人とが大学の同窓だという個人的な交友や事務所家賃の肩代わりばかりではなく、二階俊博の実弟で秘書の二階英臣が運営する政治団体「関西新風会」には、ゼネコンの営業担当者が日参してきた。