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 談合があったかどうかを判断するうえで、落札率は大きなポイントだ。発注者の予定工事価格に近ければ近いほど談合の疑いが濃厚になる。90パーセントなら、ほぼ間違いないという。しかし、似たような時期にトンネル工事を受注していながら、なぜか西松建設が不問に付されている。石田はそこが不可解だと話すのである。

明るみに出た西松建設と二階事務所のつながり

 そして、和歌山談合事件の摘発から3年後の09年、西松建設による二階事務所への政治資金規正法違反事件が明るみに出る。二階は99年から09年までおよそ10年ものあいだ、西松に事務所経費まで肩代わりさせていた。西松建設OBが社長を務めるコンサルタント会社が、古巣から融資を受けて大阪市内にマンションを購入し、実弟で秘書だった二階英臣の運営する「関西新風会」の事務所として部屋を提供してきたという。二階本人が西松建設の社長だった國澤幹雄と中央大学の同窓生であり、旧知の間柄でもあっただけに、その蜜月ぶりが注目されたものだ。

二階俊博氏 ©文藝春秋

 まして以前の和歌山談合事件と異なり、今度は大阪地検ではなく、東京地検による捜査だった。それだけに世間の期待も高まった。

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釈然としない政策秘書の罰金刑

 ところが、その捜査も不発に終わる。検察審査会の決定を受け、西松建設の國澤だけは起訴され、有罪判決を受けるが、政策秘書が事務所経費問題による政治資金収支報告書の虚偽記載容疑で略式起訴され、100万円の罰金が科せられただけだ。起訴されたその事務所経費にしろ、罪に問われた対象は9年にわたって2500万円も肩代わりさせたうち、直近3年分の900万円のみだった。おまけにパーティ券による献金は、不起訴となる。どうにも釈然としない結末というほかない。

 西松建設と自民党運輸族の大物代議士。双方の不透明な関係について、検察は06年の和歌山県知事事件のときから、着目してきた。しかし検察の捜査は二度にわたり、それを解明するにいたっていない。