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殺人、詐欺から下着泥棒まで……話題の書『日本プロ野球犯罪事典』はなぜ、どのように作られたのか

殺人、詐欺から下着泥棒まで……話題の書『日本プロ野球犯罪事典』はなぜ、どのように作られたのか

2021/04/25
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 この春、野球ファンの間で静かに話題になった本がある。『日本プロ野球犯罪事典 球界刑事事件史』(以下『犯罪事典』)。タイトルからしてインパクト満点である。アマゾンの紹介文には“日本プロ野球(NPB)に所属した野球選手が起こした刑事事件の全てが理解できる事典。殺人、強姦から下着泥棒やスピード違反に至るまで、およそ日本のプロ野球選手が起こしたあらゆる違法行為の記録が一冊に”とある。

『日本プロ野球犯罪事典 球界刑事事件史』(浦田盛一・吉田亮太/編)。2,200円。購入はアマゾンや楽天ブックスなどで。アマゾンではKindle版1,650円も購入可。

 注文し、数日後に届いたのは分厚いペーパーバック。紹介文の通り、何らかの形で刑事事件の容疑がかかった選手および事件の概要が310ページにわたって記され、かなりのボリュームだ。基本的に書店売りはされず、アマゾンまたは楽天ブックスで注文次第印刷、納品されるオンデマンド方式で作られている。

 プロ野球選手絡みの有名な事件を扱った実話系雑誌の記事やムック本は過去にも出ているが、『犯罪事典』が従来と一線を画すのは、プロ野球の歴史で延べ150人以上の選手が起こした刑事事件について、有名無名にかかわらず事実関係のみが淡々と記され、そのすべてに出典がついている点。また外国人選手の事件は出典として海外の新聞記事の記載もあり、綿密な調査のもと書かれたことが伺える。内容からして、一般書籍の形で出版することは難しいであろうことも。

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 そこで、編者のひとりである浦田盛一さんに出版の経緯や意図などについて伺うべくアポイントをとったところ、メール取材に応じて頂いた。

出発点は同人誌「刑事事件のみを淡々とまとめれば面白い資料になる」

「私ともう一人の編者、吉田亮太は同人サークル活動をしており、その過程で5年ほど前、好きな野球を題材に同人誌を作ったのがそもそもの始まりです。その際独自性を出すべく思案し、プロ野球選手の犯罪の話なら誰もやってないだろうと考えました。既出の野球選手の事件、スキャンダルを扱った書物はセンセーショナル色が強いうえ、犯罪と非犯罪が混在するなど、収録基準に統一性がありません。そのあたりをきっちり区別し、刑事事件のみを淡々と丁寧にまとめれば面白い資料になると」