地下芸人イベントを主催する“野田の上手いところ”
――永野さん自身は地下芸人と言ってますけど、実際はカリスマだったんですね。
としみつ 今年1月にやった「マヂカルラブリーno寄席」を野田は“地下ライブ”って言うんですけど、ぜんぜん「地下」じゃない。だって、永野さんがいてTHE GEESEがいて、脳みそ夫さん、ランジャタイとか知名度がある芸人じゃないですか。豪華ライブですよ。ただ、モダンタイムスっていう地下芸人を真ん中に持ってきて、「地下ライブ」と言ってるだけ。そこが主催した野田の上手いところなんです。
「大宮セブン」(「大宮ラクーンよしもと劇場」を拠点とする吉本芸人のユニット)もそうじゃないですか。メンバーもよく見れば、GAG、囲碁将棋、すゑひろがりずとかってすごいメンバーですよ。ほとんどが賞レースの決勝に残るような面々。それなのに「大宮の劇場の壁が薄くて」ってやったりする。オレらからしたらめちゃくちゃいい劇場ですよ(笑)。
川崎 スタッフさんもいて音響さんもいてね(笑)。オレらなんて、自分で音響やって走って舞台上がるんだから。
としみつ それが本当の地下。演者がやるしかないっていうのが。
川崎 暗転も「ちょっと待ってください」って自分でやらなきゃいけない。「芸人がスタッフをやる」のが地下の決まりですから。
としみつ 我々は、いまだに区の会議室とかを借りてますから。しかも「お笑い」では貸してもらえないから、「婦人会」とか嘘ついて申し込んで(笑)。
川崎 そうそう。蛍光灯の下でネタやるのが地下だもんね。
カズレーザーのブレークは「勝算あっての結果」
――地下ライブに出ていた芸人さんでもタイプが分かれますよね。たとえばメイプル超合金のカズレーザーさん(36)はM-1で注目されて以降、ネタだけじゃなくてテレビにすごくハマった感じがします。
としみつ カズレーザーは一時期よく一緒にいましたけど、話していても「本当に頭がいいな」って思いましたね。当時からすごく冷静でした。
川崎 売れる人ってわかるんですよ。カズレーザーとかはすぐわかりましたよ。
としみつ 「あ、M-1決勝行くな」ってね。自分の中に答えがあって、その通り動いて成功してる。今もそうだろうけど、自分の信念がある人なんですよ。地下ライブやってる時代から、キャラクターも固まってました。
としみつ たぶん、なっちゃん(安藤なつさん・40)とコンビ組んだら売れると思ったんじゃないですかね。だから、ずっと口説いてた。当時、なっちゃんは女性コンビを組んでいて、カズレーザーは解散するのを待ってたんですよ。
いざ解散して誘ったら、なっちゃんが「私(芸人を)辞める気だから」って断った。でも、カズレーザーは「いや、もうやるんで」って押し切って組んだんです。あの宣材写真(写真館に飾られている「家族写真」をイメージしたもの)とかのイメージも始めからあって、勝算あっての結果だと思います。