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“J-POPが消えてしまった国” 韓国で「NiziU」と「うっせぇわ」が議論の的になる理由

韓国唯一のJ-POP評論家が特別寄稿

 BTSやBLACKPINKの世界的ヒットに沸くK-POP業界。昨年デビューした韓国の大手事務所所属の日本人9人組グループ「NiziU」も日本で人気だ。そんなK-POP全盛の韓国で、J-POPをはじめとした日本の音楽はどのように捉えられているのか。日本人アーティストへのインタビューも手掛ける韓国唯一のJ-POP評論家、ファン・ソノプ氏が寄稿した。

「うっせぇわ」のヒットは韓国でも論争になっているという(「Ado」の公式YouTubeチャンネルより)

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韓国の10代は「J-POP」というジャンルを知らない

 韓国の人気グループBTSと日本の人気ロックバンド「back number」がコラボレーションした新曲「Film out」のニュースを聞いたのは、今年2月だった。

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 このニュースに、韓国人のほとんどはBTSの新曲として注目したが、個人的には「back number」という日本の素晴らしいバンドが韓国で知られる機会となったことが嬉しかった。

 ただ残念なことに、現在の韓国では、日本の音楽シーンのニュースはほとんど報じられていない。特にいまの韓国の10代、20代は、「J-POP」というカテゴリー自体に見慣れていない。日常生活の中で日本の音楽に接する機会がほとんどないのだ。

韓国でタブー視されてきた日本の音楽

 ある年齢以上の韓国人は、20~30年前に韓国では正式に流通していなかった日本の音楽を渇望していた時期を記憶している。

 韓国では長年、日本のテレビドラマや映画と同様に、日本語の楽曲の放送、レコードやCDの販売が法律で厳しく制限されてきた。日本語の歌のCDの販売が全面的に開放されたのは2004年だ。

 それでも、海賊版のような形で、韓国に日本の音楽が伝わっていた。その結果、1990年代から2000年にかけて、サザンオールスターズに始まり、近藤真彦、X JAPAN、L’Arc-en-Ciel、ZARDをはじめとしたビーイング(Being)所属の歌手が、韓国でも一定の人気を博した。「小室ファミリー」と呼ばれたglobe、安室奈美恵も同様だ。ジャニーズやハロプロアイドルのファンもいた。