――カップルの期間や新婚の期間をすっ飛ばして、家庭の状態からスタートしちゃったほうが楽みたいな感じですか?
渡辺 そうですね。最初から、ふたりの間に子供がいるのって楽なんじゃないかって。どうせ結婚するなら子連れ婚というか、子供がいたほうがいいみたいな考えはずっと持っていたので。
――言い方は悪いですが、アユさんたちの存在が夫婦の間をいい按配にする緩衝材になるといいますか。
渡辺 そうですね。こんなことを言うとアユと次女に失礼なんですけど(笑)。でも、それはたまたまです。偶然、理想通りになったというだけで。
Twitterで人柄、相性、嗜好はだいたいわかる
――Twitterで知り合って結婚された夫婦は増えていると思いますが、会ったことがなくても人柄、相性、嗜好などはわかるものですか。
渡辺 だいたい、わかりますね。むしろ、会うよりもTwitterのほうが本音で喋っていたりするものなので。たとえば、奥さんに怒られても「昔はあんなに優しかったのに……」みたいにならない。「そういえば、Twitterでもこんなふうに怒っていたな。想定していた通りだな」と思える。そのあたりは、SNSがきっかけで結婚した夫婦はみんなそうなんじゃないかなと思いますね。
趣味や嗜好に関して言うと、Twitterで小説の話題になった時に、ふたりとも安岡章太郎の小説が好きだったのがわかって盛り上がって話が合うなと思いました。
――では、奥さんと初めて会われたのはいつですか。
渡辺 奥さんの離婚後、僕が大阪の同人誌即売会に参加した時に、アユを連れて会いに来てくれました。見た瞬間に「あぁ、こいつらだな」とすぐにピンときて挨拶しました(笑)。
姉妹がなついてくれて、2人で取り合いみたいに
――『父子家庭はじめました』第1話で、娘たちに「なぜか異様になつかれた」と描かれています。これは会ったそばからですか?
渡辺 その頃のアユは、誰にでもなつく子ではありましたから。横断歩道で、横にいたおばあさんに、「あのな、あそこのふたりがな」とかいきなり話しかけちゃうんですよ。そういう感じで、挨拶もそこそこに「コレなに?」って同人誌に興味津々になって、いろいろ訊いてきましたね。
同人誌即売会から少し経って、大阪の向こうの家に1回だけ遊びに行ったんですよ。その日は雨が降っていたんですけど、アユが玄関の前に立って僕が来るのをずーっと待っていたんですよ。一緒にゲームの「マインクラフト」をやりたかったみたいで、手にはその攻略本がありました。「こんにちはー」と挨拶したら、「あのな、レッドストーンがな」ってバーっと喋り出して(笑)。それから、ベッタリとくっついて離れませんでしたね。次女も同じようになついてくれて、2人で取り合いみたいになっていました。