3年前、55歳で8歳と4歳の娘を抱える16歳年下のシングルマザーと入籍。とある事情で、発達障害児である長女と半年におよぶ父子家庭生活を送ることにもなった漫画家・渡辺電機(株)。
当時の様子を綴った漫画『55歳独身ギャグ漫画家 父子家庭はじめました』をnoteで発表している彼に、50歳を過ぎてじわじわと湧き上がった結婚への思い、現在の家族の状況などについて語ってもらった。(全2回の2回目、#1より続く)
育った家庭では好きなことをやらせてもらっていた
――渡辺さんは、どういった家庭で育ったのかを教えてください。
渡辺 父、母、姉の典型的な核家族ですね。父親が裁判官で全国を転々としていたので、一家4人で移動していたという感じで。いたって平凡で、特に傷つくような出来事もなく。転校するのは嫌でしたけど、引っ越した先の方言が理解できないので困るとか、そういうレベルでしたね。
――家庭を持ちたくないなとか、親になるのは嫌だなという気持ちを抱く要素はなかったと。
渡辺 あまり厳しくされなかったし、わりと甘やかされたほうで、好きなことをやらせてもらいました。父親は、自分と同じ法律の仕事をしてほしかったみたいなんですけども。大学をドロップアウトして漫画家になったことに関しては、いろいろと思うところがあったようでしたが、涙目で「好きなことをやれ」と言ってはくれました。そこはありがてぇなぁと思うと同時に、めんどくせぇなぁという複雑な感情がありましたけどね。
結婚に対する父親からの圧
――お父様に「おまえ、結婚どうすんだ?」的なことは言われましたか。
渡辺 「孫を抱いてみたいなぁ……」みたいなのは、ちょいちょい呟いていましたね。「若い女と付き合って、結婚して、子供を作ってほしい」とか。息子が50歳を過ぎてるのを知ってるのに、なにを言ってんだろって(笑)。シャイな人なのであまり声高には言ってはこないものの、なかなかの圧は感じました。
それでも、結婚したいとも、結婚したくないとも思ってなくて、50歳を過ぎたあたりで、「あ、これはしないで終わるな」って……結局、結婚しましたが(笑)。