ハードモードのゲームをプレイしている感じ
――50歳を過ぎて子持ちになったわけですが、その年齢だからこそ落ち着いて対応できた育児の場面も多かったのではないですか?
渡辺 やっぱり幼いのでいろいろとやらかすけど、腹が立たないんですよ。もともと、なにかあってもカッとくるタイプではないのもありますが。いろいろと家のものをぶちまけられても「後で片付けるか」と冷静に。若い時はそうはいかなかったでしょうけど。
原稿をグシャグシャにされたり、ご飯を作ったのに「いらない」と言って捨てられたりした時は、さすがに心が折れそうになりましたね。もちろん叱る時もあるけど、感情的にはならないです。そこはもう、難しいゲームを与えられた感覚として捉えています。ハードモードのゲームをいまもずっとプレイしている感じ。
「パパがいつかいなくなるんじゃないか」
――ステップファミリーゆえに気を使う場面はありますか?
渡辺 上のふたりは僕が実の父親じゃないのをわかってますから、「いつかいなくなっちゃうんじゃないか」みたいな不安を抱えているっぽいんです。アユがもうちょっと小さい頃は、一緒に歩いててパッと僕が急に走り出すと死にものぐるいで追いかけてきた。それがかわいくてしょうがなかったんだけど、いまになって考えると父親がいなくなると怖がってたんじゃないかなって。
そこは気を使って、なるべくベタベタできる時はベタベタするようにしてますけどね。アユは小6になって思春期にも入ったので平気になってきましたけど、次女は小1なのでまだまだですね。
それよりも気がかりなのは、次女から2歳になる息子への嫉妬ですね。弟だけ血が繋がってることもあって、特別扱いしてるように思われてるんじゃないかって。保育園から帰ってきた弟をあやしてると、次女がスーッと部屋の奥へ引っ込んで黙々とゲームをするんですよ。それを見ると「ワーッ」となりますね。
だから、3人の子供には均等に接することを、ものすごく意識してます。誰かが淋しそうにしているのを見つけたら、ウザがられるくらいまでかまったりしてますね。ウザいくらいの方がいいだろうと。