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黒塗りか防弾車? ヤクザはなぜクルマのステータスにこだわるのか《流行はアメ車からベンツ、いまは…》

「ヤクザの日常生活」の事件簿 #1

2021/04/25

genre : 社会, 働き方

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名義貸しは「懲役20日」との揶揄も

 同様の事件はその後も摘発が相次いだ。

 2018年10月、山口組幹部が高級車の所有者を別人に偽ったとして兵庫県警に電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで逮捕された。名義は変更が繰り返されて最終的に逮捕された山口組幹部になっていたという。

 最近では、車検をめぐっても事件化されたケースがある。

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 2021年2月、車の車検を死亡した元の所有者の名義で申請していた山口組系弘道会の最高幹部が、有印私文書偽造・同行使容疑で大阪府警に逮捕されている。

「定例会」が行われた山口組総本部を出る車(2015年) ©️共同通信社

 しかし、こうした事件の多くは不起訴処分となり勾留期限の20日間を過ぎると釈放されることが散見される。

 それでも警察当局の幹部は、「このような事件について、『懲役20日』と揶揄する声が警察の内外にあることは承知しているが、逮捕して取り調べて情報収集することにも意義がある。最高幹部クラスだったら、逮捕して社会から隔離することだけでも暴力団組織への揺さぶり、弱体化も期待できる」と強調する。

 前出の昭和の時代を知る指定暴力団幹部が、最近の事情を語る。

「車を使っていないヤクザはいないのではないか。これまで逮捕されているのは各組織の大幹部たち。例えば山口組だけでも数千人いるので目が届くわけがなく、警察は全てを見切れていない。多くのヤクザが様々な形で車を手に入れている」

ステータスシンボルとなる車をめぐって、暴力団と警察当局との攻防が続いている。

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