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企業が欲しがる「反社データベース」とは何か?

 ゴルフ場のケースだけでなく、大手企業の多くはコンプライアンス担当の専門部署を設けて、暴力団組員が逮捕された事件で実名報道された過去の新聞記事などからデータを収集して、反社会的勢力対策用のデータベースを作成していることが多い。

 中小企業や個人事業主に対しては、リスクコンサルタント会社などがこうしたデータベースを作成して提供していることもある。

 あるコンサルタント会社の経営者は、「暴排条例ができたころは問い合わせが非常に多かった。最近も問い合わせが絶えることはない」と話す。

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 これまで暴力団幹部による多くのゴルフプレーが、事件として摘発されてきた。

 2011年6月には、山口組幹部がゴルフ場でプレーしたところ、詐欺容疑で逮捕された。このゴルフ場は約款で暴力団関係者の利用禁止を定めていたが、暴力団幹部という身分を隠していたことでアウトとなった。同様に2013年6月、道仁会や住吉会の最高幹部が、2017年2月には極東会系幹部が逮捕されたこともあった。

 ゴルフプレーが詐欺容疑に当たることについて、警察当局の捜査幹部が解説する。

警察幹部は、身分を隠してゴルフをプレイすることは「『2項詐欺』にあたる」という(写真はイメージ)©iStock.com

「刑法の詐欺罪の条文の1項では、人をだまして金銭などを交付させることと規定されているが、2項という規定もある。2項は人をだましてサービスを受けるといった、財産上不法の利益を得る行為も詐欺にあたると規定している。こうした行為を通称『2項詐欺』という。ゴルフプレー詐欺はこれにあたる」

 かつて警察当局は、多くの一般客を招いた暴力団幹部が主催するゴルフコンペが活動資金集めに利用されるケースがあるとしてマークしてきた。週刊誌で報じられた大物暴力団組長のゴルフコンペは誕生日パーティーも合わせて開催されていたため、多額のお祝い金が包まれた可能性もある。

 だが現在は、コンペどころか、ゴルフプレー自体が摘発の対象となっているのが実情だ。(文中敬称略)