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“AI爆速翻訳”されたB級ケータイ小説が世界中で売れている理由とは

中国発 「AIに小説の翻訳はできない」という“常識”がくつがえった

2021/04/28

娯楽不足でスマホが普及しつつある今だからこそ

 振り返るに中国でも、地下鉄やバス内の私の周囲でオンライン小説を誰かしらが読んでる時期がありました。モバイルのデータ通信料金が高くて、動画が気軽に見られるものではなかったころ、有象無象のオンライン小説は中国人の移動中の暇つぶしにもってこいのエンタテイメントでした。

 通信料金が高いところでは、データ量の少ない小説のようなテキストコンテンツが重宝されます。今でこそ中国人はホワイトワーカーを中心に多くの人が本を読んでいますが、中国でも15年くらい前までは本を読む人は少なく、そこに大量のテキストコンテンツがやってきたのです。

地下鉄内でネット小説で暇を潰す人も ©山谷剛史

 内容がダメ、翻訳クオリティが多少ダメなコンテンツでも、本を読まなかった市場に向けて、なんとなくあらすじがわかれば楽しいというニーズは確かにあります。人海戦術による玉石混交というか、ほとんど質が良くないコンテンツが、大量にアフリカなど第三世界に流れ受け入れられているのは、まさに娯楽不足でスマホが普及しつつある今だからこそという時の運もあるわけです。作中の登場人物の細かな感情の表現まで品質にこだわるプロの翻訳家は、100円ショップの商品が大量に流通する中での高級ブランドのように少数派の職人となっていくかもしれません。

日本の漫画より中国のネット小説?

 AIによる翻訳クオリティはどんどん向上しているので、もう数年もしないうちに見違えるでしょう。漫画なども、吹き出しのセリフがAIで自動翻訳され、海外で読まれる時代が来るかもしれません。例えばそれが武侠ネタであれば、すでになじみがある読者のいる地域で人気になる可能性はあります。

AIを使った漫画の商用化もすぐそこか

 今は翻訳のプロを介さないAI翻訳でクオリティが良くなかろうとも、それでも読む人は沢山いるし、無数の中国小説を読むことで中国文化やストーリーのツボが理解されるようになっています。海外で中国ネット小説文化が受け入れられれば、その読書に時間が費やされ、日本の漫画に費やす時間が減るということも考えられます。中国のネット小説の大量輸出、脅威だと思いますよ?

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