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連載池上さんに聞いてみた。

池上彰氏の解説する「バイデン大統領が“就任後初の2国間首脳会談相手”に日本を選んだ理由」

池上彰氏の解説する「バイデン大統領が“就任後初の2国間首脳会談相手”に日本を選んだ理由」

池上さんに聞いてみた。

2021/04/26
note

Q バイデン大統領、どうしていま日本を首脳会談相手に?

 アメリカのバイデン大統領の対面で会う最初の外国首脳が日本の菅総理大臣になりました。これだけ感染症が問題になっている中で、自身の年齢も高いバイデン大統領がどうして日本の総理大臣といま対面で会おうとするのだろうかと純粋に驚いたのですが、アメリカ側はなぜこのタイミングで日本を「選んだ」のでしょうか。(60代・男性・会社員)

バイデン大統領の就任後初となる2国間首脳会談相手が日本になった理由とは ©getty

A 日本とアメリカ、双方に理由があります

 ひとつの理由は、日本が「一番に会いたい」と猛烈に働きかけたからです。トランプ大統領が当選したとき、それまでトランプ陣営との関係を築いていなかった日本政府は大慌て。安倍首相が外務省に「トランプと会えるようにセッティングしろ」と号令。大統領就任前のトランプ氏に会うことができ、その後の良好な関係を築くことができました。

 今回も、それを狙ったのですが、バイデン陣営は「大統領に正式に就任した後でなければ会えない」と返答してきました。この時期になって、やっと努力が実ったのです。

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日本側からの猛烈な働きかけの背景には、トランプ大統領誕生時の記憶もあった ©AFLO

 もうひとつはアメリカ側の都合です。バイデン大統領は同盟国との連携を重視しています。中国の人権問題や軍事的な挑発行動を厳しく非難しています。その非難行動にアメリカ1国だけでなく、アメリカのアジアの同盟国である日本を誘い込みたかったからです。

 アメリカは日本に対し、「最初に会うから一緒になって中国を非難しよう」と誘い、日本はそれに乗ったのです。

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