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「県庁を通して話があったから」

 ゼネコンはあくまで、県議側へ渡った仲介手数料を誤魔化すためのトンネル役だ。文字どおりのダミー機能を果たしている。続いて朝日新聞は以下のように記す。

〈当時の契約資料や関係者の証言によると、日航と後援会幹部は1991年に行われた土地売買に際し、互いに「仲介者」を立てた。契約上の仲介者は、日航は社宅・寮を建設することになっていたゼネコン、後援会幹部は自身が経営する不動産会社だった。日航は、宅地建物取引業法に基づく告示が定める上限にあたる売買金額(約152億円)の3%の約4億5千万円をゼネコンに、後援会幹部は1%の約1億5千万円を不動産会社に支払った。

 しかし、日航が支払った仲介手数料について、ゼネコンの関係者は「土地の売買契約に介入してきた元県議側から指示された不動産会社の口座に全額を入金した」と話す。不動産会社の関係者も、「元県議が指示した口座に大部分を入金した」という〉

 土地取引から20年近くが経過し、JALが経営破綻したせいで明るみに出た疑惑だといえる。だが、キーマンの県議はすでに他界し、ことの真相は闇に葬られている。

 念のため、日航タウンの地主だった二階の後援会長に話を聞いてみたところ、こう釈明した。

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「二階先生との付き合いはありますが、JALに土地を売ったのは県庁を通して話があったからで、先生とは関係ありません」

 企業に対する政界の影響力は往々にして、目立たないよう発揮される。それだけに外部からはわかりづらい。が、目を凝らすと、普段のちょっとした出来事のなかに、実力政治家の影がちらつくケースは少なくない。運輸行政における二階俊博の力は、伝えられているよりはるかに大きい。たとえば地元和歌山にあるもう一つの南紀白浜空港は、二階がつくった空港だといわれている。本人が利用するときなど、地元は丁重にもてなす。

赤字空港に最大の飛行機を導入

 南紀白浜空港は典型的な赤字地方空港である。便は倒産する前のJALくらいで、数少ない乗客を乗せて羽田から飛んでいた。

 和歌山の空港はもともとJALと合併した旧日本エアシステム(JAS)が乗り入れていた1800メートル級の滑走路があるだけだった。それを2000メートル滑走路の新しい空港につくり変えるよう計画、誘致したのがほかでもない、二階俊博である。