2011年に放送されて多くのアニメファンを熱狂させた「魔法少女まどか☆マギカ」の新作が発表され、ツイッターのトレンドでも1位になるなど話題になりました。しかし、知らない方は、この熱狂ぶりに今一つピンとこないかもしれません。同作はどうして、10年たったいまもここまでの盛り上がりを生むのでしょうか。

「僕と契約して、魔法少女になってよ!」

「まどか☆マギカ」は、過酷な運命に巻き込まれた魔法少女たちが魔女と戦うダークファンタジーです。物語は、普通の女子中学生・まどかのほのぼのした日常から始まり、夢で見た少女とそっくりな転校生・ほむらが登場。まどかに対して厳しい視線を向けて意味深な言葉を投げかけます。

 やがてまどかは、白いネコのような言葉をしゃべる不思議な生き物で、ほむらに追い回される「キュゥべえ」と出会います。そして同時に魔女を倒す魔法少女の存在を知り、そのキュゥべえから「僕と契約して、魔法少女になってよ!」と誘われます。

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 魔法少女は、どんな望みもかなえられますが、過酷な使命を背負わされるというもの。まどかはその気になりかけるのですが……と、ここまでが全12話のうち3話までの大まかなあらすじです。

公式HPより

「ほのぼの」から一気に「ハード」へ

 ポイントは、ほのぼのしたシーンから始まるように見せて、実はハードなダークファンタジーが展開されるという強烈なギャップがあること。他の「魔法少女」ものと同様、「まどか☆マギカ」の魔法少女たちも強大な力を持つのですが、大きな代償が存在し、かつ少女の「無垢な願い」と「負の感情」が交錯していきます。

 また可愛い「キュゥべえ」も、ほむらが追いかけまわすに相応の理由があり、ほむらがまどかに向けた厳しい視線の意味も分かるなど、物語が進むにつれて序盤の伏線も回収されていきます。

 さらに、まどかとほむらの関係は表裏一体のダブル主人公的な仕掛けになっており、当時のファンの間で「どちらが真の主人公?」という激論もかわされました。12話の物語ですが、1話ごとの密度が“特濃”だったのです。