「若い子もいたんですよね?」
「もちろんいましたよ。女子高生の売春グループもいました。制服を着て泉の広場に立っていたから、どこの高校かもわかる人にはわかるんじゃないですか。彼女たちは、過激なプレイもオッケーで有名でした」
「覚醒剤のために売春させられていた未成年もいた」
泉の広場で摘発が行われる中で、2020年11月には、女子高生に売春をさせていた容疑で無職森本正明容疑者ら男3人が逮捕されている。芋づる式に売春組織に辿り着いたのだった。売春をしていた女子高生の中には、本人の意思だけではなく、背後から操る男たちの存在があった。杏梨はそうした男たちの存在まで知っていたのだろうか。
「私が知っているのは、その森本という人に命令されていたかどうかは、わからないですが、覚醒剤をやるためのお金欲しさに、売春をしている未成年の子が2人いたことです。彼女たちもヤクザにはめられたんじゃないですかね。まずは覚醒剤をやって、抜けられなくなって売春をやらされたんだと思います」
警察による摘発は、風紀を改善するだけでなく、売春を強要されていた女子高生を救ったことにもなる。私はこれまで、色街の摘発に関しては、ときに慎重な意見も述べてきたが、未成年者が組織的な売春に巻き込まれていたのを救った今回の摘発に関しては、警察の功績に拍手を送りたい。
杏梨自身は、どのようなペースで泉の広場を利用していたのだろうか。
「大阪に来て、すぐに今の工場で働きはじめたんですけど、そこの同僚が泉の広場のことを詳しく教えてくれたんです。それで、仕事を終えて夕方から広場に行ったんです。週に3日ぐらい行っていましたね。そうすると、お客がつかないことは滅多になくて、ひとりか2人は見つかりました。1回2万円でホテルに行きました」
「今ではさすがに行ってないんですよね?」
「摘発が続いていますし、コロナも流行しているので、今は行ってないです」
一緒に立っていた知り合い子は「去年の8月に逮捕された」
「知り合いで逮捕された人はいますか?」
「いますよ。当時神戸でソープ嬢をしていた子なんですけど、去年の8月に逮捕されました。その子は両親と暮らしていて生活費かからないのに、ソープだけじゃなくて、売春をしていたのは、ホスト遊びや、洋服を買ったり、お酒を飲んだりしているうちに、カードローンでお金を借りて、借金が重なったからでした」