昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/05/02

source : 文藝春秋 digital

genre : エンタメ, 芸能, テレビ・ラジオ, ライフスタイル, 働き方

「かわいそうな人」と思われたくなかった

――離婚後、一時は入院されるほど心身にダメージを負ったそうですね。

西川 42歳で離婚して、直後にマンションを買ったりトイプードルを飼い始めたりしました。周りに「かわいそうな人」と思われたくなかったんです。でも、180万円で買った「ヘブンリーベッド」で悪夢ばかり見るし、テレビ番組の生放送前に吐き気が止まらなくて、一時期はお尻の下にエチケット袋を忍ばせてオンエアに臨むような状態でした。

 

 犬(初代ココ)が原因不明の病気で突然死してしまい、そのことも体調を崩す大きなきっかけだったと思います。周りに気付かれないようにと思っていましたけど、きっとみんなわかっていたでしょうね。頭皮には赤や黄色のまずい湿疹ができて、最終的に急性胃腸炎で入院したのが44歳です。病院のベッドで、「ああ、これで本当に私はかわいそうな人になってしまった」と思いました。

40を過ぎて初めて「挫折」を経験

――その感覚は、人生で初めてのことだったのでしょうか。

西川 それまでの私は、「目標」「成功」「気合い」「努力」みたいなフレーズが好きで、いつも何かに向かって前進しなくちゃいけない、そんな強迫観念がありました。でも病気をして無理ができなくなって初めて、自分自身がすごく傷ついていたことに気付いたんですよね。40を過ぎて初めて、思うようにいかない現実もある、という「挫折」を経験したんです。それは医者としてもすごくよかったことで、大変な人の気持ちに寄り添うことがどういうことなのか、ようやく理解できました。

 

 それからは離婚や不倫のニュースを見ても、「お互いいろいろあったんだろうな」と思えるようになりました。前は「絶対にこいつが悪い!」とかやってたんです。白黒つけなきゃ気が済まない性格でしたけど、今は「どっちもグレーね」です。

z