同い年なのに出来栄えが違うんだなって(笑)
中野 違うところを挙げるとしたら、“育ち”かな。先日、『人生最高レストラン』(TBS系バラエティ番組)に出演されていた本木雅弘さんが、也哉子さんはすごく若い頃から堂々としていたっていうお話をされていましたよね。物事に動じない、いろいろな状況にあっても右往左往せずに、自分がここにいるってことを信じられる感じというのは、やっぱり也哉子さんの肝になるところ、一番の魅力だと思っています。私はといえば、40代になってようやく自分はこうかな、という感じが分かってきたところなので。
内田 それは私がとろくて問題処理が遅いから、黙って座って考えているだけなのに、ふてぶてしく偉そうに見えているだけなんです(笑)。私は、私と中野さんは同い年(同学年)なのに、こんなに出来栄えが違うんだなって思っているんです(笑)。
中野 出来栄え?
内田 2人でお話を深めていくうちに分かったことが、やっぱりそれぞれ、いろんな困難を小さい頃から経験してきて、中野さんも幸か不幸か「みんな人間は一人だ」っていうことを早くに知ってしまった。それで、自分がどう生きたいのかということで、中野さんの場合は「学ぶ」ことで、辛かったことも含めて自分の糧にしていった。それってすごい才能で、どう自分の人生を面白く、楽しませるか。中野さんの場合は「学び」を深めていかれた結果、さまざまな知識を身につけて、それを本などでアウトプットもされているんだけど、私がすごくかっこいいなって思うところは、いろんな負のことを人のせいにしない。それよりも、せっかく生まれたんだから、自分の興味にどんどん邁進していって、その結果、多趣味でもあるし、でもそうかと思うとすごく深く一つの事を掘り下げているし。逆境の乗り越え方としては、なかなか真似できないんです。
中野 すごくいいふうに言ってもらって恐縮です。人のせいにしないっていうのは、確かに美しいように聞こえますけど、実は、人のせいにするのはコスパが悪いんですよ。
内田 (笑)大好き、その話の方向性。
中野 人のせいにすると、その人を変えない限り私の状況も変わらないわけですよ。人を変えるより、自分を変えたほうが早い。自分のせいにするのが問題解決への近道なんですよね。人のせいにするっていうのはコスパが悪いので、あんまりよくない“解”だと気付いたんですよ。
見方を変えるとレモンも甘い
内田 まさに、私の母がそういう考え方でした。私が人との関係で悩んだり問題を抱えていたりしたとき、「人を変えることはできないから、結局、自分がそこをどう変えていくかでしょ」って言われた。私は「そう言うけど、でも…」ってぐずぐず言っていただけなんですけど。中野さんは早くに、あ、そうか、自分を変えたほうがいいんだと、捉え方を変えていく才能がすごいですよね。
中野 根が面倒くさがりなんでしょうね。見方を変えるとレモンも甘いみたいなことになって。
内田 シュール(笑)! レモンが甘い!
中野 何かそういうことをやっているうちに、大人になってしまった気もします。
内田 それは決して、気を逸らそうというのではなく、オーガニックなかたちで、中野さんは純粋に好きなものを見つけるのがとても上手だと思う。
中野 楽しまないと損だと思っているところがありますね。何かいろいろなものにスタックされて悩んじゃう時期も、もちろんないではなかったんですけれども、悩んじゃう時期が後々の糧になるんだったら、それを私はいいと思う。でも、悩む時期がそのまま腐って崩れ落ちていくようなものなんだったら、それは面白く過ごしたほうが得なんじゃないかな、という気がするの。