白井屋ホテル(群馬県前橋市)
「the RESTAURANT」の「農園より」
https://www.shiroiya.com/dining_and_foods/restaurant
当地で300年以上の歴史を誇る白井屋旅館をエッセンスとして、エリアの再生プロジェクトと共にアートデスティネーションホテルが誕生。近年の市街地空洞化の波はこの地においても例外ではなく、前橋を活性化したいという思いに国内外のクリエイターが集結した。かつての老舗旅館の構造を生かした大胆な吹き抜けが印象的。
「the RESTAURANT」はオープンカウンター席のみというメインダイニング。青山のミシュラン二つ星フレンチレストラン「フロリレージュ」のオーナーシェフ川手寛康さんの監修。群馬出身の片山ひろシェフが地元の生産者を訪ね、恵まれた自然のもとで育まれた食材を吟味し、群馬の食文化を独自の解釈で再構築するという“上州キュイジーヌ”がコンセプトだ。「農園より」と名付けられた美しい一皿にただただ感動。赤城牛のフィナーレに行き着く頃には身も心もほろほろとほぐれていることに気付く。
HAKONE NICA(神奈川県箱根町)
「ダイニング」の「由比 桜海老/絹さや」
https://hakone-nica.com/
箱根・宮城野の国道から脇道を入り、かなり坂を上がった場所にある隠れ家度満点のスモールラグジュアリーホテル。ロビーに入った瞬間、オープンエアーの開放的なロビーラウンジが迎えてくれる。正面の山腹に望む強羅温泉や早雲山、富士山の眺望は圧倒的。オールインクルーシヴがテーマのひとつで、全8室でスタッフ8人、きめ細やかなおもてなしにリピーターも多い。
ディナーのテーマはフュージョン料理。新進気鋭の若手シェフ山本光伸氏の手による、イタリアでの経験に和のエッセンスを取り入れたコンテンポラリな一品一品に意表を突かれる。天城軍鶏と白アスパラガスに合わせる土佐酢のジュレなどは斬新。最も印象的だったのが蓬を練り込んだパスタに由比の桜海老&絹さやという合わせ技。絵の具を何重にも塗り重ねたような紅の深い色合いに絹さやの緑が映えるが、食感も完璧に計算し尽くされている。和もテーマということでホテルのロゴ入り紙製箸箱に入れられた箸が備えられている。