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ついに訪れた「PayPay手数料有料化」の激震!ローカルスーパー&コンビニの2つのサバイバル戦略

2021/05/12

 キャッシュレス決済の利用者が急増している。

 PayPay株式会社によると、2021年3月までの1年間で決済回数は20億回を突破。前年度の8億回と比較して2.5倍に増えたという。登録者数は3800万人、加盟店舗数は215万ヶ所から316万ヶ所へと拡大した。

 キャッシュレス全体をみても利用者の数は確実に増えている。昨年3月に行われたインフキュリオンの決済動向調査によると、QRコードの決済利用者は1年間で12%から43%へと急伸。電子マネー決済の利用者も49%から60%に増加した。消費税増税のポイント還元でキャッシュレス決済に注目が集まり、その後、コロナ禍で非接触の決済を求める人が増えたことで、利用者が急拡大した。

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もはやキャッシュレス決済なくして商売は成り立たない

 キャッシュレス決済に慣れてしまうと、お札や小銭を使うことが億劫になる。JCBがキャッシュレス決済の利用者に行った調査によると、「飲食店などでキャッシュレス決済が利用できないとわかって、お店の利用をやめたことがあるか」の問いに対して「ある」と回答した人は48.4%にも上った。

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「キャッシュレス決済がなくても問題ないんです。ただ、お客さんが不便で……。新規のお客さんの獲得面でも取りこぼしがあると思うので、そろそろ現金以外の決済方法を導入しようと思っています」(取材した飲食店経営者)という現場の声が象徴するように、キャッシュレス決済を拒否していた企業も、続々と白旗をあげている。

 手数料の問題で導入を渋っていた串カツ田中は、昨年7月よりQRコード決済を全店舗に順次拡大していくことを発表。サイゼリアも昨年7月のメニュー改定を機に、キャッシュレス決済を展開していくことを決めた。もはやキャッシュレス決済なくして、商売は成り立たないと言ってもいい。

業界側の「キャッシュレス化」しない理由

 このキャッシュレス全盛期に、現金のみにこだわるお店はあるのか。調べてみると、それでも飲食店はまだ比較的、現金支払いのお店も多い。理由は多々あるが、「券売機による食券制だから導入できない」「従業員が高齢だから対応できない」「一度やってみたが逆に効率が悪かった」など、オペレーションを理由にキャッシュレス決済を見送っているケースが多いようだ。

 もうひとつ、現金のみの支払いで目立った業種はスーパーだ。