独自の電子マネーを導入するローカルスーパー
この状況下での「サバイバル戦略」の好例が、独自のキャッシュレスを導入したローカルスーパーチェーンだ。
昨年の9月4日の日経MJの記事によると、広島県を基盤とするスーパー「フレスタ」の会計の構成比は、独自の電子マネーが50%、クレジットカードが10%、他社のスマホ決済が8%。現金での支払いは減ってきたものの、外部のキャッシュレス決済の事業者に対して、売上の2%弱の手数料の支払いが増えているという。
外部のキャッシュレス決済比率が高まれば、利益を圧迫しかねないという判断から、9月1日に独自のスマホ決済アプリ「フレスタアプリ」を導入した。決済基盤を広め、手数料支払いを抑えたいという狙いがフレスタにはあるようだ。
あるスーパーの幹部社員は、独自のキャッシュレス決済を導入するもうひとつの理由を教えてくれた。
「キャッシュレス決済をするために、お客様はスーパーのアプリをダウンロードします。そこにセール情報を流せるので、チラシを撒かなくてもお客様を集客することができるようになるんです」
独自で決済システムを構築すると、莫大な開発コストがかかる。しかし、将来的に決済手数料を削減できて、なおかつアプリで顧客の囲い込みができれば、その初期投資はすぐに回収できる。
匿名で取材に応じてくれたスーパーでは、独自のキャッシュレス決済を導入したことをきっかけに、チラシを撒くことを止めた。大幅に販促費を削減したのにも関わらず、コロナ禍の影響もあって売上と客数は右肩上がりだ。キャッシュレス決済のブームで、一部のスーパーでは思わぬ副産物が生まれているようである。
現金支払いのみのコンビニ 「一度も困ったことがない」
さらに、あえて現金のみの支払いにこだわるコンビニもある。そのお店の名前は「わしの屋酒店」。群馬県の四万温泉の温泉街にある小さなお店だ。一見すると「コンビニらしからぬ」店名だが、現地に行ってみると店先には「ヤマザキショップ」の看板が掲げられており、コンビニであることは間違いない。お酒を中心にお弁当、サンドイッチの他、日用品なども取り扱っている。レジを見ると、「お支払い方法は『現金のみ』で御座います」という案内が書かれていた。