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 ドラッグストア、ディスカウントストアも含め、食料品やお酒を取り扱う小売業は、キャッシュレス決済を導入しないお店が多かった。

 現金支払いのみのスーパーに、キャッシュレス決済を導入しない理由を尋ねたところ、ほとんどが「手数料分をお客様に還元したい」という回答だった。激化する格安競争の中、1円でも安く商品を提供したいという思いから、現金支払いにこだわるスーパーは多いようだ。

支払い方法がほぼ現金決済のみのスーパー(筆者調べ)

 また、コロナ禍で巣ごもり需要が増えたことで、スーパーなどではキャッシュレス決済の導入が遅れた面もあるようだ。現金支払いを続ける飲食料品のディスカウントストアの従業員が言う。

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「コロナ禍で来店客が増えて、客単価も上がっているので、キャッシュレス決済が未導入だからといって、お客様に逃げられているような感じはありません。薄利多売のわれわれにとって、手数料の数%でも大きな打撃ですから、現状であればキャッシュレス導入に無理はしませんね」

ついに訪れた「PayPay手数料有料化」の激震

 この従業員が言うように、消費者にはメリットも多いキャッシュレス決済だが、利用者が増えれば増えるほど、お店の負担は大きくなるのは事実だ。既存のキャッシュレス決済を利用すれば手数料が取られるし、独自の決済システムを導入できるのは、体力のある一部の企業に限られる。

 さらに、キャッシュレス決済の手数料が、今後、値上がりしないという保証はどこにもない。

 実際、QRコード決済市場の過半数を占めるPayPayは、10月1日から無料にしていた決済システム手数料を有料化する。キャッシュレス決済に依存していたお店は経費の負担増になり、一方でキャッシュレス決済をやめてしまうと、客離れを引き起こすというジレンマを抱えることになる。今後、キャッシュレス決済の継続か撤退かに頭を悩ませるお店は増えるはずだ。

 こうした板挟みにあうのは最初から分かっていたことである。だから、一方では最初からキャッシュレス決済を導入しないほうが踏ん切りがついていいのではないかともいえるが、他方で大手全国チェーンに顧客を捕られてしまう可能性も考えれば、苦渋の決断として導入せざるを得なくなるのが、ローカルのスーパーやコンビニの立場だ。一体、彼らにはどのような「活路」があるのだろうか。