「“会ったことがない人”から誘われてもついていってはいけない」
両親が捜索願いを出して、その子は2日後に無事発見されて保護されましたが、同様の手口で長期監禁される子や、最悪の場合は殺される事件も起きています。大人は子どもに、「知らない人についていったらダメ」と言いますが、子どもたちにとってSNSやゲームで交流している相手は「知らない人」ではないんですね。
犯罪目的でSNSを使っている人は、相手の信用を得るために別人格になりきって、偽アカウントを育てます。ターゲットにした子の趣味関心、フォロワーの交友関係などを調べ上げて、同じ人をフォローしたり同じ投稿にコメントするなど、信頼できる存在感をアピールします。そして相手からフォローしてもらった瞬間から、慎重にアプローチを仕掛けていくのです。
そんな相手と毎日コミュニケーションしていれば、実際に会ったことがなくても、「親や先生より何でも話しやすい人」だと思ってもおかしくありません。ですから親も学校も、「知らない人」はどんな人なのか、再定義する必要があるのです。「“会ったことがない人”から誘われても絶対についていってはいけない」「子どもに連絡をしてくる大人はすべて悪い人だと思ったほうがいい」と、教えたほうがいいでしょう。
TikTokでわざとパンチラを見せフォロワー数を増やす女の子も
―― 警察が2020年に摘発した児童ポルノ事件は2757件、18歳未満の被害児童は1320人。そのうち約8割は中学生と高校生で、だましたり脅したりして裸の写真を送らせる「自画撮り」の被害にあった者は511人もいます。
佐々木 捜査の対象にならないまま被害に遭っている児童・生徒は、その10倍以上はいると僕は思っています。
中学生の自撮り性被害が増えているのは、裸やわいせつな画像を自撮りすることにどんなリスクがあるか、最悪の事態がわかっていないからです。「好きだから」「すぐ削除するから」「誰にも見せないから」といった相手の言葉を信じたり、裸の写真と何かを取引して脅されたりしたら、さっさと送ったほうがマシだと思ってしまう子もいます。
それと女の子は、中学生くらいから自分が女性として認められることを意識しはじめます。異性から「きれいだね」「かわいいね」と言われることで、承認欲求を満たそうとする子も多い。そういう子は、たとえばTikTokに自分がダンスしている動画を投稿して、わざとパンチラを見せてフォロワー数を増やすこともあります。