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「TikTokでわざと下着を」「46歳の男性が19歳のイケメンモデルになりすまし…」 元捜査一課刑事が明かす子どもを狙ったSNS性犯罪の”手口”

佐々木成三インタビュー#1

2021/05/10
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ネットの世界から児童ポルノがなくなることはない

―― そうした性犯罪は、どのように発覚するケースが多いのでしょうか。

佐々木 もちろん警察がサイバーパトロールをして、わいせつ画像、児童ポルノなどの違法サイトを検挙したり、違法画像の流通防止対策などはしています。でも、違法画像を扱う闇サイトやまとめサイトがなくなることはないので、ネットの世界から児童ポルノがなくなることもないと思います。

 他によくあるのは、別の事件の容疑や犯罪で逮捕した人のスマホやパソコンを確認して、児童ポルノの画像が見つかるケースです。たまたま補導した未成年の女の子のスマホを確認して、自撮りの性的画像が見つかることもあります。その場合は、「この写真、誰かに頼まれて撮った? 誰かに送ったの?」と聞いて、送った相手がいれば「児童ポルノ製造罪」で捕まります。

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親のSNS投稿がきっかけでストーカー被害にあった娘

―― 制服姿の自撮り写真をTwitterに投稿した女子高生が、ストーカー被害に遭うこともあるそうですね。入学式や運動会など、子どもの個人情報がわかる写真をSNSで公開する親も多いので心配です。

佐々木 ある父親が、高校生になった自慢の娘さんの入学式の写真をFacebookに投稿したら、フォロワーの1人がその画像をスクショして、女子高生の写真専門の掲示板サイトに転載しました。その後、サイト内の「特定班」と呼ばれる人たちが、娘さんの通学路や生活範囲を割り出したため、ストーカー被害に遭ったケースもあります。その娘さんは、自分の写真がFacebookに載ったことなど知りませんでした。

「特定班」と呼ばれる人たちは、不適切画像や動画をわざと炎上させることを目的にしています。そのため、ターゲットにした女の子の実名、学校、顔写真、メールアドレスなどの個人情報を特定して、「#拡散希望」「#JK」などのハッシュタグをつけて拡散させるのです。

 Instagramのストーリーのように、一定の時間が経つと自動的に消える動画であっても、彼らは目をつけた女の子の画像を切りとって保存します。そして、闇サイトに転載したり、不特定多数に向けて拡散することもあるのです。中高生以上になると、自分でSNSに画像や動画を投稿する子も増えるので、彼らのカモになる危険性が高まります。