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天下り官僚による談合

 もとより造成会社の代表取締役専務だから、工事に口を出しても不自然ではない。だが、中国ツアーまで呼びかけるようなそのやり方に、建設業者も閉口してきたのである。

「関空工事の落札率はどれも100パーセントに近い。これは形を変えた官製談合ともいえます。古土井さんは、こと工事を進めるにあたり、業界内にいる運輸省OBと話をしてきた。それで、埋め立てや護岸工事を得意とするマリコンには、古土井さんの先輩の運輸省の元役人をたくさん抱えてきたものです」

 先のツアー参加業者が意を決して、談合のシステムについて話す。

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「マリコンにとって天下りの運輸OBはいわば工事をとるためのお客さんです。だから、待遇もいい。役人側も『秘書がおるか』『運転手をつけてくれるか』と条件をつけてくる。その人らは何をするかといったら、午前中、新聞を読んで、昼から出身官庁へ行って営業するだけでしょう。でも、古土井さんと話ができるのは、運輸省OBだけですからね。会社側にとってはそれでいいのです。要するに官庁OBの談合です。ゼネコン業界が05年末に談合決別宣言をし、表立って調整機能をなくしていますが、それに代わって、このような調整が機能してきたともいえます。大手のマリコンになると、運輸省のOBを一社あたり5、6人抱えていますが、彼らは他社の元官僚と一種のサークルをつくっていて、口が堅い。社内でもなかなか本音を言わないのです」

 OBによる談合は、関空だけに限った話ではない。昨今の空港建設は多かれ少なかれ、天下り官僚たちの意向で動いてきたという。あげく赤字空港が続出しているのである。関空工事を牛耳ってきた古土井の後ろ盾については、もはや繰り返すまでもないだろう。

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