Q メルケル首相が4期目に突入。なぜこれほど支持されているの?
ドイツの総選挙で、メルケル首相が率いる与党が第一党となりました。今回の選挙では与党が議席を減らし、右翼系の国家主義政党が初めて議席を獲得したことで話題となっていますが、それでもメルケル首相は実に12年も首相の座にいます。男女の区別をするつもりはないのですが、ドイツ初の女性の首相でもあるメルケル首相が、なぜこれほどの支持を集めることができたのでしょうか。(50代・男性・会社員)
A したたかな政策が、支持される理由なのでしょう。
中東アフリカからの大量の難民を受け入れたことで、メルケル首相の支持は下がりましたが、第一党の座を確保しました。この強さの秘密は2つあると思います。
ひとつは、ドイツ国民の寛容性です。困った難民がいたら受け入れるのは当然という意識が広範囲に存在するので、メルケル首相の判断が支持されたのです。
第二次世界大戦後のドイツは、ナチスドイツの少数民族抹殺・ユダヤ民族虐殺の歴史を受け止め、二度と起きないようにするにはどうしたらいいかを学校教育の中で考える訓練をしてきました。
その蓄積がメルケル首相の判断を容認する土壌になっているのです。
もうひとつは、左右への目配りと柔軟な政策変更です。
これまで連立を組んできた社会民主党のリベラルな政策を自分のものにしてしまい、お株を奪われた形の社会民主党は支持を下げました。
一方、難民政策に批判が出ると、今度は難民申請を却下された人に関しては送還を迅速に実施すべきであると主張して右派に配慮しています。左右の政治的主張を柔軟に受け入れて政権の存続を図る。そんなしたたかな政策が、支持される理由なのでしょう。
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