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14年目を迎えた元巨人“剛腕投手”のうどん店 上福岡で愛される秘訣は「自分が店に立ち続けること」

2021/05/11
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 うどん県といえば香川県だが、関東でもうどん県と呼ぶに相応しい県がある。埼玉県である。県東部には加須うどん、中央部には熊谷うどん、鴻巣あたりの川幅うどん、そして、西部には武蔵野うどんと食感や太さの異なるうどん文化が華開いている。

 東武東上線のふじみ野市上福岡駅一帯は広大な台地が続き、南西は狭山丘陵から武蔵野台地へと至る。昔から武蔵野うどんがよく食べられていた地域で、小麦などの生産も盛んだったようだ。現在は東京へのベッドタウンとして宅地開発が進み、駅前の再開発が進んでいる。

東武東上線のふじみ野市上福岡駅、都心への移動も便利だ
西口側は広く再開発が進んでいる
東口側も駅前の開発が急ピッチで進む

元巨人の條辺剛さんが上福岡で開業した「讃岐うどん 條辺」

 さて、上福岡で、「讃岐うどん 條辺」が開業したのは2008年4月14日である。ご存知の方も多いと思うが、店主は元読売ジャイアンツの條辺剛さん。剛腕ストッパーとして人気だったあのイケメン右腕投手である。2005年に現役を引退している。

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「讃岐うどん 條辺」は東口から歩いてすぐ

 開業当時は、テレビや雑誌が引退から修業、そして開業までの道のりを取り上げて話題となった。読売ジャイアンツ終身名誉監督の長嶋茂雄氏直筆の店名の色紙があることでも有名だ。

 近年は、野球選手という経歴の部分はやや落ち着いて、地元でもうまい讃岐うどんの店として定着し、県内外からうどんファンが訪れる人気店となっている。

長嶋茂雄氏直筆の店名の色紙漢字バージョン
長嶋茂雄氏直筆の店名の色紙ひらがなバージョン

 しかし、武蔵野うどんの地、上福岡で讃岐うどんの店を立ち上げた直後は、苦労も多かったようだ。「讃岐うどん 條辺」がどのように人気になっていったのか興味あるところだ。今回はその辺りを條辺剛店主に取材してみることにした。

「讃岐うどん 條辺」の店主である條辺さん