一方で、女性から近寄ってくる場合も見受けられたという。
「ヤクザの方から猛アタックすることもあるが、逆に家柄のよろしい良家のお嬢様が、不良が大人になったようなヤクザに勝手に憧れて惚れてしまい、困ったケースもあった」(同前)
「身だしなみにはカネをかける」という流儀
警察幹部のこうした観察の通り、多くの暴力団幹部たちは身なりには注意を払っているようだ。関西地方に活動拠点がある指定暴力団幹部が実情を明かす。
「スーツは既製品を1着も持っていない。すべてオーダーメード。そのうえ、例えば1カ月間で同じスーツは着ることはない。毎日のようにスーツを替える。こうして外出して女性に会うと『あの人は同じスーツを着ているのを見たことがない。おしゃれな人だ』と勝手に評価してくれる。ここが重要なところ。
身なりについては、スーツだけでなくネクタイや時計、靴も同じことが言える。ネクタイはサラリーマンでも毎日、違うものに替えることもあるかもしれないが、それだけでなく時計や靴も違うものにしていれば『お金持ち』ということになる。こうなると、女性が勝手に、『お金持ちで、おしゃれで、格好良い人だ』と思い込む」
さらに、この暴力団幹部も「カネが必要になる」と強調する。
「ヤクザは人気商売のようなもの。身なりが派手だ。目立つ服装をしているが、ただ目を引くということだけでなく高価なものが多い。服や時計、宝飾品など何でも。これは女性に対してだけではなく、例えばカタギとのビジネスでも身なりをしっかり整えておかねばならないということもある。
そうしたことも、やはり必要なのはカネ。身だしなみにはカネをかける。さらに夜の街に飲みに出かけても、我々は宵越しのカネは持たないという格好つけているところがある。散財することが格好良いとの考えがある。この点も重要で何事もやはりカネだ」
警察当局はそんな暴力団員の行動を注視しながら、日々捜査を続けているのが現状だ。(年齢、肩書きは当時)