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「ナイフを買い与えた親を岡庭容疑者が見透かしていた可能性」茨城一家殺傷で問われる親の責任

「問題は少年院ではなく出所後」少年はなぜ更生できなかったのか #2

2021/05/18

genre : ニュース, 社会

ナイフの画像を見ながら「かっこいいからコレクションしたい」

 岡庭容疑者は2011年の連続少女通り魔事件の際、父親に買ってもらったバタフライナイフを使って凶行に及んでいました。父親は、通り魔事件の裁判の証人尋問で、岡庭容疑者にナイフを買い与えた経緯についてこう述べたそうです。

〈(息子が)インターネットのオンラインショップでナイフを売っているところを見つけ、興味を示すようになった。サバイバルナイフの画像を見せながら『いいなあ、買ってよ』などと言ってきた。『なんで欲しいの』と尋ねると、『かっこいいからコレクションしたい』と。とはいえ、持ち歩くと銃刀法違反になるのはわかっていたので、『外に持ち歩いたりしたら絶対ダメだぞ』などといって、代わりに私の名前で注文し代引で購入していた〉

中学時代の岡庭容疑者

 この父親は「有害玩具」を子供に買い与えたことから、青少年健全育成条例違反容疑で書類送検されています。

岡庭容疑者の医療少年院での更生プログラムは失敗した

 もちろん、一概に子供に何でもかんでも買い与えることがダメだということにはなりません。しかし、子供は親を見て育つもの。まして、日本の場合、「親権」というのはとても強い権利で、滅多なことでは親権をはく奪されることはありません。例えば、増え続ける実親・保護者からの児童虐待案件数に対して、日本で親権停止にまで踏み切った事例はわずかに年間数十件に留まります。だからこそ、親権を持つ者は、その権利を正しく行使しなければなりません。

「親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う」(民放820条)とある通り、親は子供のことを見て、良いことをするように教育しなければいけない義務を負っているのです。岡庭容疑者の場合、過去に刃物を使って通り魔事件を起こしたという事実があります。それにも関わらず、今回、また刃物を買い与えていたり、刃物の購入を容認し、親が止めなかった場合などには、親の責任が問われる可能性もあります。

通り魔事件の際に、少年宅から警察に押収されたナイフ ©時事通信社

 今回の事件について改めて検証すると、岡庭容疑者の医療少年院での更生プログラムは失敗したと言わざるをえないでしょう。しかし、だからと言って、医療少年院の更生プログラムそのものが適正でないということにはなりません。