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 漢字を覚える→ほめられない(1ステップ)→終わり(漢字を覚えない)  

 実際はこんなに単純ではありませんが、これに近いものがあります。頑張ってみようという動機づけにはある程度の見通し力が必要なのです。認知機能が弱いとこういった見通し力が弱く、そのために頑張れなくなるのです。大人になるにつれてほめられる機会はますます減ってきますし、またこの頃には挫折経験も蓄積していますので、ますます頑張れなくなってしまうのです。こうなりたいといった目標が立てられないから頑張れない、努力できないという訳です。

犯罪に繫がることも

 この見通し力の弱さは犯罪に繋がることもあります。例えば、お金がないけれど急にお金が必要になったと仮定します。そこに、目の前に大金をもった人が現れた。その時、そのお金を奪えばどうなるか。一時的にはお金が手に入るかもしれません。しかしその後、警察に逮捕されるかもしれない。そのことを見通すことができれば、お金を無理やり奪い取ることを躊躇するかもしれません。この場合、2ステップ以降を考えることができれば犯行に至りません。

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 お金が必要→目の前の人から奪い取る(1ステップ)→警察に逮捕されるかもしれない(2ステップ)→他の方法を考えよう。誰かに借りようかな(3ステップ)

 しかし1ステップ目までしか考えられなければ、無理やり奪い取ってしまう、つまり強盗をしてしまうことに繋がるのです。その結果うまくいけば“またやろう”になりますし、うまくいかなかったら未遂に終わったり、逮捕されたりするのです。

 お金が必要→目の前の人から奪い取る(1ステップ)→うまくいった、うまくいかなかった

 世間の事件を見てみますと、犯罪者があまりに後先を考えずに行動している例が多いように感じます。彼らは、こういった先を見通す力の弱さがあるのではないか、とも推測されます。