ああー、みたいな。「ああ、フラれた、いいやー」と思ったら、ちょうど12時ぴったしに、「さっきのあれ、返事OKだよー」、みたいな。「なんでじゃあ、あのときOKってすぐいわなかったの?」っていったら、「記念日の数字が4っていうのが嫌だったから」って。
──あはは(笑)、かわいいー。ちょっとかわいいー。
あ、かわいい、こいつーとかって思って(笑)。
──好きだったらそれではまるよね、なんかね。キュンキュンーってね。
うん。
──嫌いだったらどうでもいいんだけどね(笑)。
たぶん、春菜の行動的にも気づいてたんだと思う、たぶん。「おまえ、そろそろだぜー」みたいな(笑)、まわりにいわれてて(中略)。
──で、このときが何歳?
このときまだ15歳。やっぱりなんていうのかな。この歳の時期って、そこまで毎日一緒にいるっていうのないから。だけど和樹、高校もまともに行ってなかったから、自分たちがこの民宿にいたら、学校抜けて民宿に来て、一緒に寝てとか、遊びに行ってとか。だから自分がどんどん麻痺してって。「和樹大好き、和樹大好き」みたいな。
彼と一緒にいるときに、すべての感情を体験した
──うーん。でも長いね。そこからね。
うん。長かった。
──何年ぐらいになる?
今月で、ほんとうだったら、付き合ってたら5年だったから。
──あ、そっか。
うーん。………でも、いっぱい経験した。和樹といたら。
──楽しいことから、つらいことから、頭にくることまで?
うん、うん。全部。
春菜は和樹と一緒にいるときに、すべての感情を体験したのだと話す。
まだ20歳の春菜が経験した、「全部」とはなんだろうか。
春菜たちのいう「援助交際」とは次のようなものだ。まず和樹がインターネットで客を探し、春菜か薫のどちらかが客と落ちあい、近くのラブホテルに出かける。そこで客とセックスをし、また同じ場所まで客の車で送ってもらう。
──(待ち合わせ)場所にも(和樹が)連れてったの?
場所はもう、(客を)探してる場所付近、目立たないところで。
──ああ、ひとりでじゃあ、1対1で待ち合わせするんだ。
うん、待ち合わせして。どんな車かっていうのを聞いて。
──相手の車に乗るんだ。
うん。
──場所はどこだったの?
最初のころはMのほうでやってた。
──で、Aのホテル?
ああ、でもバラバラ。ホテルDとかホテルKとか。もう、ひとに合わせてたから。やっぱりきれいなところがいいっていうひともいるし、安いところがいいっていうひともいるから。
──「どこでもいいよー」っていって。
うん、そうそう。