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「別にだれでもいいよ、もう、遊ぼう」15歳の少女が家を飛び出し、売春で生活するようになった“ただならぬ理由”

『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』より #1

2021/05/27
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 ああー、みたいな。「ああ、フラれた、いいやー」と思ったら、ちょうど12時ぴったしに、「さっきのあれ、返事OKだよー」、みたいな。「なんでじゃあ、あのときOKってすぐいわなかったの?」っていったら、「記念日の数字が4っていうのが嫌だったから」って。

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 ──あはは(笑)、かわいいー。ちょっとかわいいー。

 あ、かわいい、こいつーとかって思って(笑)。

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 ──好きだったらそれではまるよね、なんかね。キュンキュンーってね。

 うん。

 ──嫌いだったらどうでもいいんだけどね(笑)。

 たぶん、春菜の行動的にも気づいてたんだと思う、たぶん。「おまえ、そろそろだぜー」みたいな(笑)、まわりにいわれてて(中略)。

 ──で、このときが何歳?

 このときまだ15歳。やっぱりなんていうのかな。この歳の時期って、そこまで毎日一緒にいるっていうのないから。だけど和樹、高校もまともに行ってなかったから、自分たちがこの民宿にいたら、学校抜けて民宿に来て、一緒に寝てとか、遊びに行ってとか。だから自分がどんどん麻痺してって。「和樹大好き、和樹大好き」みたいな。

彼と一緒にいるときに、すべての感情を体験した

 ──うーん。でも長いね。そこからね。

 うん。長かった。

 ──何年ぐらいになる?

 今月で、ほんとうだったら、付き合ってたら5年だったから。

 ──あ、そっか。

 うーん。………でも、いっぱい経験した。和樹といたら。

 ──楽しいことから、つらいことから、頭にくることまで?

 うん、うん。全部。

 春菜は和樹と一緒にいるときに、すべての感情を体験したのだと話す。

 まだ20歳の春菜が経験した、「全部」とはなんだろうか。

 春菜たちのいう「援助交際」とは次のようなものだ。まず和樹がインターネットで客を探し、春菜か薫のどちらかが客と落ちあい、近くのラブホテルに出かける。そこで客とセックスをし、また同じ場所まで客の車で送ってもらう。

 ──(待ち合わせ)場所にも(和樹が)連れてったの?

 場所はもう、(客を)探してる場所付近、目立たないところで。

 ──ああ、ひとりでじゃあ、1対1で待ち合わせするんだ。

 うん、待ち合わせして。どんな車かっていうのを聞いて。

 ──相手の車に乗るんだ。

 うん。

 ──場所はどこだったの?

 最初のころはMのほうでやってた。

 ──で、Aのホテル?

 ああ、でもバラバラ。ホテルDとかホテルKとか。もう、ひとに合わせてたから。やっぱりきれいなところがいいっていうひともいるし、安いところがいいっていうひともいるから。

 ──「どこでもいいよー」っていって。

 うん、そうそう。