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大きなトラブルを教訓に、「ベンダー任せにしない」方針へ

――記者会見の横山さんの説明、受け答えは「~と聞いている」という伝聞体でもなく、曖昧さを避けた言い切る形で、明快で良かったという声がありました。システムの再起動をしなかった理由などを言い切るためには、システムに関する相当な理解が必要と思うんですが、CIOとしてはどの程度まで理解しようと心がけているんですか?

横山 プログラムの中身まで知っている必要はないわけですが、どのようにシステムが構築されてきて、どの部分に構築上の難しさがあって、ある障害が起こったときにはそれがどんな影響を及ぼし、復旧のために何が必要か、は理解しています。これはシステム開発のプロセスにずっと関与しているので、自ずと分かってくるわけなんですが……。

――開発のプロセスにすべて関わっているんですか?

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横山 そうです。「ベンダー任せにしない」という基本方針があるんです。つまり、システムの製造元であるベンダーさんのシステムの企画、要件定義、開発、運用という一連のプロセス全体に、システムのユーザー企業である我々自身が主体的に関わらなければならないと。

システム障害についての会見に出席した横山CIO(右から2人目)と宮原幸一郎社長(当時・右から3人目)

――そのポリシーがあるので、ベンダーである富士通に責任があるかのような言い方がなく、注目されたんですね。

横山 これは2005年から06年にかけて起きたシステム障害を大きな教訓としています。05年11月に全銘柄の売買停止、翌12月にはいわゆる「ジェイコム事件」、証券会社の大量誤発注をシステムが取り消せなくなった障害が起き、06年の1月には「ライブドアショック」で大量の注文を捌けなくなり売買停止。3カ月連続で大きなトラブルが起きてしまいました。当時、我々はベンダーさんにシステムを最初から最後まで任せきりで、使う側にとってはブラックボックスになっていた。これがトラブルの大きな原因でもあったと反省したんです。おんぶに抱っこではなく、使う側が要件定義から責任を持つ、上流工程からの品質づくりをするという体制にして、取引所側のシステム部門の社員も関わるようにしたんです。ですから責任者である私ももちろん、参加しているわけです。