腹落ちするまで技術者に質問、システムをストーリーとして理解する
――システム障害や情報セキュリティの不備に関する説明は年々目にする機会が増えています。その中で感じられているのは、技術的な問題を、いわば「自分ごと」の言葉にした企業側の説明が少ないということだと思います。
横山 私はコードを書いたこともないド文系ですから、会議で開発陣が言っていることの深いところまで理解できているとは思いません。ただ、理屈としておかしいと感じた部分には何かしら潜んでいるものなんです。あるパートとあるパートの説明を聞いて矛盾してないか? と思ったとしますよね。そんな時は納得がいくまで、しつこく何度でも質問します。腹落ちするまで。そうすると「このケースを見落としていました」「そこまで想定できていませんでした」という話が出てきたりする。最後の最後まで話を聞くということが重要な気がします。「バグが出ているけれども、品質としてはそれでOKです」と説明されたら納得できないと質問を繰り返しますし、逆にバグが少なければ「ちゃんとテストできてないんじゃないの?」と聞く(笑)。
――システムを理解するにはどうやって頭を整理していますか? 例えば図や絵にしてイメージでつかむなど、いろいろな方法があると思いますが。
横山 そうですねえ……私はストーリーにしていますかね。このシステムは何のために必要とされていて、どれにどう影響して、どういうメリットをもたらすか。なぜストーリーにして語れるように理解するかというと、新しいシステムを導入する際には必ず、私が責任者として役員会であったり、場合によっては取締役会で説明することになるからです。最終承認は開発予算とセットですから、いわばプレゼンをするようなものです。弊社は社外取締役が過半で、IT系出身の方はもちろん弁護士、会計士、学者の方までさまざまで、取締役会となると皆さん遠慮なさらず、非常に多くのご質問をいただくんです。こうしたプロセスを日常的に行っているので、自然と自分の言葉でシステムをストーリーとして、物語って説明できるようになっているように思います。