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 それでは昨今のK-POPのダンスに新たなトレンドセッターはいるのか、リア・キムさんに聞いてみる。「現在のトレンドを誰か一人だけに紐付けすることはできませんが、最近はTWICE以来のJYPガールズグループであるITZYが、パワフルかつエキサイティングなパフォーマンスを披露して強く印象に残りました。彼女たち5人の登場によって、振付に新しい風が吹いたと思います。また、以前だと振付でセックスアピールをするような動きが重視されていましたが、今はK-POP全体でパフォーマンスの領域が広がっているのは良い変化だと思います」

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 グループの人気を左右するまでになったダンスの振付は実際にどうやって考案されているのだろう? 「まずは曲をずっと聴き込んで、単独で制作するか、他の振付師と一緒に作業するかどうかを考えます。振付の方向性と全体的なコンセプトを決めてから作業するのですが、どのパートでどんな要素をポイントに持ってくるか、振付を分解することが重要です。Swag(イケてる感じのノリ)、動作、表情など、状況に応じて何をポイントにするかで構成はまったく変わってくるのです。全体の作業には1週間程度の時間を要しますね」(リア・キム)

©iStock.com

 代役ダンサーによる振付映像を依頼主に提出した後も、アイドルと一緒にトレーニングをしたり、MVに自ら参加してディレクションしたりすることもあるという。K-POPのクリエイターたちはコンテンツがPCやスマホの四角い画面上で最大の効果を発揮するように考える。振付も例外ではなく、カメラワークをかなり意識し、メンバーが多いグループの場合は一人ひとりがクローズアップされる短い瞬間にも表情や魅力が伝わるよう、動きの速い振りを付けるそうだ。

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 新人アーティストやソロデビューの際には特に力が入る。Wonder Girls解散後、移籍した事務所から出したソロデビュー曲「Gashina」でアーティストカラーを確立した元メンバーのソンミは、グループ卒業後のソロ活動が成功しにくいK-POP界で「ソロクイーン」とまで呼ばれるようになった。前述のようにこの曲を振り付けたのもリア・キムさんで、「本人のキャラクターを考慮せずに振り付けた動作がひとつもないほど」と、かなり戦略的に行なわれたようだ。「ソンミさんと何度も話し合いながら曲のコンセプトを共有していき、最終的に『愛に狂って抜け出せない、毒っ気がありつつも気品高い少女』というキャラクターを設定しました。映画『レオン』の主人公マチルダを連想して、この少女が踊ってみたらどうなるだろうと想像しながら動作の一つひとつを構成し、ソンミさんがそれを見事に体現してくれました」(リア・キム)